20日に開催された大日本プロレスの後楽園ホール大会で実現した葛西純VS伊東竜二に対するファンの期待値は異様に高かった。6年ぶりに組まれた「切り札カード」にして、過去に2度しか行われていないカミソリボードデスマッチという付加価値もあり、今大会は超満員札止めとなる2013人を動員。会場全体が熱気に包まれた。
試合が始まると、2人はファンの期待をはるかに上回る死闘を展開。カミソリボードに打ちつけられるたびに葛西と伊東は苦悶し、ファンは悲鳴をあげる。だが凶器はそれだけではない。
両者はパイプイス、サボテン、画鋲、蛍光灯などあらゆるアイテムを投入。闘いは頭脳と肉体、そしてさまざま凶器を駆使した総力戦となる。葛西は、場外に設置したテーブルに伊東をテーピングでくくりつけると、奥の手であるバルコニーダイブを解禁した。
大流血戦は30分時間切れ引き分けかと思われたが、葛西はリバース・タイガードライバーで伊東をカミソリボードの上に突き刺し、残り15秒で劇的勝利を収めた。
半月版損傷で長期欠場を経験するなど両膝に爆弾を抱える葛西は「年内引退を考えていた」と衝撃告白をしたが、最高のライバルである伊東と最高級のデスマッチを体現できたことで「デスマッチ魂に火がついた。両膝がぶっ壊れるまでやってやる」と現役続行を宣言した。伊東は敗れたままで終わるつもりはない。「今日は楽しかったが、俺はその1000倍悔しい」とリベンジに燃える。2人のライバルストーリーはこの日、新章に突入した。