JCダート最大のサプライズがカジノドライヴの参戦だ。賞金順位は41番目。本来なら出走など夢のまた夢だったが、レーティング(4位)の恩恵を受け見事、出走権をゲットした。
世界が注目した前走・ブリーダーズCクラシックは折り合いを欠き最下位(12着)。日本調教馬によるBC制覇の野望は無残にも砕かれたが、葛西助手にショックの色はもはやない。
ダートで行われた米国・ピーターパンS(GII)ではダ1800メートル1分47秒8の破格のタイムをマーク、0秒9差をつける圧勝を飾り、能力の高さを証明している。
「前走の敗因は馬場(オールウェザー)が合わなかったものとはっきりしているからね。クッションが深くて、ダートとはまったくの別物。前に押し出される展開もきつかった」
前走後は阪神競馬場で調整。26日に行われた1週前追い切り(ダート)では6F78秒5、上がり3F37秒0→12秒0の好時計を楽な手応えでマークするなど、激戦の疲れは皆無だ。葛西助手の顔も自然と緩む。
「寒い時季なのに毛ヅヤが悪くならない。歩様もだいぶ柔らかくなってきた。サッサッと軽く走ってきちゃうところが、すごいところだよね」
最強メンバーと呼ばれる今年の日本馬。それでも、陣営から弱気な言葉は出てこない。
「古馬、とくにヴァーミリアンは強い。ただ、同世代の馬には負けないと思う。とにかく、持ってるものが違うんだから」
JBCクラシックでヴァーミリアンにクビ差と肉薄したサクセスブロッケンより上…となれば、一気の天下獲りがあってもおかしくはない。
【最終追いVTR】安藤勝騎手が阪神に駆けつけて追われた。ダクで1周、体をほぐしてからシャンパンスコール(3歳未勝利)を先に行かせスタート。道中は落ち着き十分で徐々にシフトアップ。直線入り口で僚馬を射程に捕らえると、外から一気に交わし去った。全体時計は6F82秒4→65秒1→50秒6→37秒4→11秒8。反応、気配とも文句なしで“特A”の仕上がりだ。
○安藤勝騎手の話「新馬のときに見たイメージは“もっさり”といった感じだったが、乗るとキビキビしていて反応がいいね。まだ4戦のキャリアなのに、落ち着いていて大人びている。競馬は後ろからでも良さそうだし、これだけの馬に乗れて幸せです」