筆者がチャンネルを回したとき、有吉(弘行・太田プロ、35歳)が、先輩も含む芸人集団を追い込んで、面白い一発ギャグを生み出させる、というコーナーを生でやっていて面白かった。芸人が順番に彼に指名され、苦し紛れに何かやる度、「コント禁止」「シュール禁止」など有吉はいつものように的確な批評で笑わせていたが、そこにただひとりアイドルで参加していた同じ太田プロのおかもとまり(20歳)が、最大の特技という触れこみのブリッジを披露したとたん、有吉は一言、
「サークルでやってろ」
相変わらず、言い得て妙でウケた。ぼそっと一喝したいつもの手腕に、スタジオも期せずして笑いに包まれた。
彼の一言一言は、時に視聴者を代弁してくれる。この瞬間も、ブリッジの出来不出来はともかく、しょーもないアイドル芸やプロフに書いてある特技一般についての視聴者の平素のモヤモヤした思い、を見事に代弁したのではないか。思うに、しょーもないアイドル芸、は、無数にあるだろう。
「フラフープなら誰にも負けない」「舌が鼻につく」「細菌についてネットで調べるのが趣味」
(どーせたいしたことないんだろ)(しょーもな)
「陸上インターハイ」
(ほんとかよー、走ってよー)
そこへきた、「サークルでやってろ」と独特のユーモアを交えた寸評。
(ああそうか、そういえばいいんだ)そう自然と溜飲が下がる思いがしたものである。
とんねるずの食わず嫌いの罰ゲームの物真似なども、アイドルが披露するまさしく“しょーもない”一発芸のいい例だろう。
「○○ダ電機の声まねやります」
「○○ーダ電機!」
確かにけっこう似ていたかもしれない。が、しょーもな、というのも視聴者の本音だろう。そこに、「ハハッ!」というADらの乾いた爆笑。当代若手トップ女優の面子を立てるためか、ちょっとありえないくらい賞賛するとんねるず。
しょーもない特技って、周囲が機嫌をとるのも大変そうだ。
ひとつだけ驚いた技があった。
それはグラビア出身の超有名ギャル系タレントC・Wが、なにかのテレビでバリバリ蝉を食っていたのを見た時だ。たぶん世界中探しても、お茶うけにせんべいでもかじってるみたいに、あれほど無表情に、普通の食材のように、蝉を食べられる人はいないだろう。
ライター 澤田瑛和