米国のジョンソン監督は3位決定戦への意気込みを「前回(1次リーグ)は延長11回までもつれたし、今度はもう少し打撃をしっかりしたい」と完勝宣言。準決勝でキューバに2-10で大敗したチームになめられたものだが、それも仕方ないほどの惨敗だった。
スポーツ記者は「指揮官の緊張が選手に伝染した。ベンチは常にピリピリムード。無理やりつくる笑顔が痛々しい。まるで甲子園初出場のチームのようだった」と話す。途中まで韓国をリードしながら、余裕のかけらも感じられなかった。
最大の誤算はムードメーカーがいなかったことだ。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)ではやたらハイテンションなイチローがチームを引っ張った。王監督を男にしようとナインを鼓舞できたのは、メジャーでの実績があったから。しかし、今回選出されたメンバーにはそれほどの実績やカリスマ性はなかった。
韓国の眠れる主砲・李承●(● は火へんに華)(巨人)に勝ち越しの一発をくらった岩瀬(中日)は、降板後は顔を真っ赤にして放心状態。だれも声をかけられず、テレビはベンチのバーを両手で握りしめたままの岩瀬のどアップを何度も映した。「まだ反撃の機会があるのに、ピンチをチャンスにかえようとしない。岩瀬は完全にさらし者。ご家族もいたたまれなかったはず。ベンチに“ああはなりたくない”というネガティブ思考が充満した」(同記者)。試合後に落球したG・G・佐藤(西武)は泣きじゃくったというから、とても聞いていられない。
2つ目の誤算は、星野監督が昨年のアジア予選を勝ち抜いたメンバーにこだわりすぎたこと。守護神上原(巨人)の復活ばかり注目されたが、それだけで勝てるほど野球は甘くない。「期待をかける選手に星野監督はこだわりすぎた。1次でメッタ打ちされた岩瀬を投げさせるのはおかしいし、ヒットを打たれて打席に李を迎えるタイミングで星野監督がマウンドまで行ったときは、さすがに代えると思った。不調の投手に“お前と心中や”は自殺行為です」(同記者)。不動の4番新井(阪神)もしかり。信頼にこたえれば感動のドラマが誕生するが、そのぶん気負うのも確かだ。
3つ目は、星野監督のつくり笑い。「韓国戦前の選手整列で、サングラス姿の星野監督が“イエーイ”みたいな感じで各選手とハイタッチして並んだ。あり得ない。敗戦後のコメントでも微笑を浮かべていたけど、目は笑っていなかった」(同記者)。星野監督が明るく振る舞うほど、選手はその心中を察してガチガチになった。
星野ジャパンは負けるべくして負け、金メダルを逃したのである。