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順風満帆に見えた家族が無理心中? 地元に残る“神隠し伝説”との奇妙な関連とは【未解決事件ファイル】

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 広島県にある小さな町で、とある一家が忽然と姿を消した不可解な事件があった。社員旅行の予定があった当時51歳の母Aさん(仮名)、結婚を控えた当時26歳の長女Bさん(仮名)、建設会社勤務の当時58歳の父Cさん(仮名)、当時79歳の祖母Dさん(仮名)。トラブル一つない順風満帆な家族に一体何が起きたのか。警察の捜査で判明したのは、町に伝わる神隠し伝説と、失踪したとするには余りにも不自然な自宅の様子だった。

 2001年6月4日。この日はAさんの勤める会社で社員旅行が予定されていた。しかし、集合時間を過ぎてもAさんが現れないことを心配した同僚が彼女を迎えに行くと、Aさん宅はもぬけの殻となっていたという。一家は犬を1匹飼っていたが、家族と一緒に姿を消していた。

 不審に思った同僚はAさんの親族に電話し、その電話を受けて親族は警察に通報。駆け付けた警察官が室内の捜索を始めた。

 当時、この家にはAさん、Cさん、Dさんの3人が暮らしていた。室内に荒らされた形跡はなく、通帳や財布も手つかずの状態で、血液反応もなし。廊下と台所の電灯がついたままで、朝食の準備がなされており、電子レンジで温めるだけの状態だった。また、実家を離れ一人暮らしをしていた長女Bさんの免許証と携帯電話も発見された。Aさんが用意した旅行用のバッグ、家族の外履きが残され、サンダルと彼らが着ていたパジャマがなくなっていたことから、パジャマ姿にサンダル履きで消えたことになる。

 家族の中で、最後に姿を確認されたのは長女Bさんになる。前日の6月3日、職場の親睦会に参加したBさんは、午後9時過ぎに同僚を家まで送り届けていた。この時、実家に忘れ物を取りに行くと、母親に電話を掛けていたのを同僚が確認していたという。

 一体、家族に何が起きたのか。警察は付近の住民や家族の知人に話を聞くなどして捜査を進めたが、トラブルや失踪の予兆は確認できなかった。Bさんは結婚を控えており、他の家族に関しても借金等の問題を抱えることなく、恨みを買うような人たちではなかったという。

 警察は機動隊やヘリコプターを動員し捜索に当たったが、それから1年にわたり一家の姿を見つけることは出来なかった。

 事件が動いたのは失踪から約1年後の2002年9月7日。一家の自宅付近にあるダムで、車が沈んでいるのを通行人が発見し警察に通報。警察が調べたところ、車の中から一家4人とペットの犬の遺体が発見された。

 遺体には目立った外傷がなく、車のキーは差したままの状態。ダム周辺には車止めが設置されており、誤進入するような場所ではない。この状況証拠から、警察は無理心中と判断した。しかし、たまたま帰宅した長女も一緒だったことや、残された朝食や旅行バッグ等、不可解な点も残されている。警察から無理心中の動機は明かされておらず、現在も不明のままだ。噂では、Aさんが自身の父親に夫が思いつめた様子だった事を相談していたというが、真偽は不明。

 地元住民の中には、この事件を古くから伝わる神隠し伝説と重ね合わせる人もいるという。伝説によると、昔この地域を治めていた家の女中が山に出掛けたきり帰ってこなくなったらしい。村人が総出で探したものの見つからず、彼女は神隠しにあったのだという言い伝えだ。恐ろしいのは、彼女が消えた山を以前一家が所有していたという点だが、失踪事件との関連は確認されていない。

 翌日の準備をしていた人が、急遽自殺や心中など考えるのだろうか。長女の結婚を控え、幸せに見えた家族を死に追いやった真相は謎のままである。

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