そんな石原=自民党陣営に苦汁をなめさせられそうなマラソン日本代表が2人いる。瀬古利彦と有森裕子だ。
一見、衆院選とは無関係と思われるご両人だが実は2人とも大の「政治好き」。「社会貢献したい」と口々に語っているが、本音は「議員センセイになって、世の中を政治するのが夢なのでは」(事情通)と噂される。
意外と知られていないが、瀬古は政治家転身を「今年2月頃から考えるようになった」と事情通は語り、次のように話を進める。
「今年1月に瀬古が所属する『東京陸上競技協会(略称・東陸)』の役員選があったのです。昨年から役員になった瀬古は今年も当然、役員に立候補。それも今回は“会長”への立候補を画策。選挙後、小掛照二会長(当時)の後釜となり上部団体の『日本陸上競技連盟』にも影響力を持とうと思ったようなのです」
ところが、思惑通りにいかず落選。無役になった瀬古は「次の照準を国会議員に変えた」(前出・事情通)という。そんな中、自民党が瀬古に接触。事情に詳しい陸上関係者はこう話す。
「6月頃に、衆院選に出馬しないか? という打診を非公式に受けたのです。本人は国政進出を夢見ていたので、かなり喜んでいたようです」
しかし喜びも束の間、肝心の選挙戦に突入すると思わぬ「落とし穴」が待っていたのだ。
伸晃と瀬古には因縁めいた「事実」がある。今年6月1日から急きょ、伸晃が東京陸上競技協会の会長に就任したのだが、この「会長」職こそ瀬古が何よりGETしたかった「権力」なのだ。
それが、よもや伸晃の手中に…こうなれば、瀬古の皮算用は大きく狂ってくる。「全国に1万5000人規模で会員がいる」(前出・陸上関係者)陸上競技協会は伸晃を組織ぐるみで応援。瀬古が仮に出馬してもバックアップ「ゼロ」という悲しい結果になるのだ。
一方、民主党からの出馬が有力と噂される有森裕子も“伸晃余波”をモロに受けそうな気配。こちらは今回見送りの公算が高いようだ。
一般的に有森といえば、「ド真面目で“根性、根性”の精神論者」のイメージが強く、カタブツ感が漂う。今回、水面下で働きかけた民主党の党員でいえば、参院議員の蓮舫に近い。
それだけに、しっかりとした基盤さえできれば、蓮舫同様「マジメ族」からの指示を得られるが、今回のような「ゲリラ戦」となれば「私のバックは陸連」が謳えないと苦しい展開となるのだ。
ただ、有森の名誉のために「実は、関西弁でよく喋り、冗談もポンポン言う。小出(義雄)監督との掛け合いはおよそ漫才ですよ」と、有森をよく知るライターは語る。
瀬古VS有森のマラソン五輪対決は思わぬ「落とし穴」で消滅しそうだ。
(※敬称略)
陸上競技とは最も縁遠い存在に思われる石原伸晃が6月1日付で東京陸協の会長に就任した当時、陸協幹部は大混乱に陥った。
そもそも2月1日付で大串啓二が会長に就いたばかり。それがわずか4カ月で退任、しかも「ノー選挙」で伸晃が抜擢されたのだから、背後の政治力は誰もが気になるところ。さまざまな憶測が飛び交っている。