「元々、夜は居酒屋で働いていたのですが、時給も良く、煌びやかな世界に憧れていたためキャバの世界に飛び込みました。たまに面倒なお客さんを相手にするぐらいで、特に仕事に対して不満はなかったんです」
だが涼子は酒だけでなく、タバコを大量に吸う日々が続くことで、声に関する問題が彼女を苦しめていった。
「接客中のちょっとした間を埋めるために、タバコを吸うことがやめられなかった。気付くとタバコに手が伸びていました。自宅での喫煙も合わせると、1日に2箱以上吸うことも珍しくなかったですね」
この2年間、ほとんど休みを取らずに、昼間はアパレル関係の店で接客し、夜はキャバクラで働く。そんな生活を続けていくことで、涼子の声は次第に枯れていき、風邪をひいているわけでもないのにハスキーボイスとなっていったという。
「昔の友達に会ったときにまず驚かれるのが、私の声の変わりようなんです。どうしたの?”って皆に聞かれることで、段々と昔の自分の声に戻りたいと思うようになりました。お医者さんにも相談に行ったのですが、一番の治療法は、酒とタバコを止め、とにかく声を使わないことなんだそうです」
もうこれ以上、喉を傷つけたくないと思っていた涼子は声帯を休ませることを決意。そして夜の世界を棄てた。
「声の状態が回復したら、昔みたいに友達とカラオケでも行きたいですね。そのために、しばらくは喉に無理をさせないつもりです」
生活のこともあり、昼の仕事は続けると語った涼子。しかし接客の際は、おだやかに話すことを心がけていくという。
(文・佐々木栄蔵)