「本格化するのはまだ先だけど、今は本当に充実している。良くなっているよ」と杉村助手はうなずいた。春も忘れな草賞を快勝して、オークス(8着)で穴人気したほど。素質の一端は示していたが、ここ一番で精神面の弱さを露呈していた。
「春は馬込みに入るのも怖がっていたほど。それが随分成長した」。夏を越し、体力がついて馬が自信をつけたのか、この秋の2戦はどちらも目を見張るような末脚を発揮した。
ローズS、秋華賞ともに2着。特に前走はゴチャつきやすい京都の内回りコースで、トールポピーなど末脚タイプの馬が軒並み沈没したにもかかわらず、鋭く追い込んできた。
「勝ち馬はうまく内を突いていた。1/2馬身差はその分だと思う。だけど乗り役はうまく乗ってくれたよ」。福永が騎乗すると<1201>と抜群のコンビネーション。今度は末脚が生きる外回りが舞台だけに、さらに持ち味を引き出してきそうだ。
「先々週に口内炎を発症して3日ほど食欲が落ちた。だけど、しっかり乗り込めているし、当日、極端に馬体重が変動しなければ、いい競馬になるはず」
ようやく夢に手が届くところまできた。この血統には、晩秋の京都がよく似合う。
【最終追いVTR】ゴール前で仕掛けられて併走の2歳500万にクビ差先着を果たした。追われてからの反応の良さは相変わらずで、ラスト1F12秒4をマーク。馬体細化も見られず、好調をキープしている。