デブは女性にとってセンシティブな話題である。作り方によってはドラマの主要視聴者層である女性の反発を受けかねない。この点で『リバウンド』はコメディを徹底しており、安心して観られる作品になっている。今回も、太一と元彼の風見研作(勝地涼)の「現在の彼氏vs元彼」の対決など、笑いどころが豊富である。
信子にとってスリム体型が望ましい姿で、デブの体型は忌むべき姿である。しかし、スリム体型の信子は無理していることが多い。太一との初デートも無理に相手に合わせようとして疲れてしまう。さらには結婚へと突っ走る太一のために、夢のパリコレ取材を捨てて退職する。
ところが、仕事への思いを知った太一からパリ行きを勧められ、退職したと言い出せなくなる。パリに行くと嘘をつき、その嘘が露見しないように嘘を重ねる。真相を知れば相手が最も腹を立てるパターンである。その挙句にリバウンドしてしまう。パリに行った信子のことを想いながら真剣に新作ケーキを考案していた太一の怒りは当然である。
怒る太一に対し、信子は太一に逆ギレする。このふてぶてしさは、無理をしていたスリム体型時の痛々しさとは対照的である。信子の嘘は、親友の三村瞳(栗山千明)が擁護したように、相手を失望させたくない一心での嘘であるが、その優柔不断さは相武紗季の男勝りでサバサバした性格というイメージとも対照的である。かえって特殊メークで「変身」したデブ体型時の方が、性格的には相武らしくなるから不思議である。
『リバウンド』は、スタイルのいい相武紗季のデブ姿が見物である。スリム体型時の相武もガニ股で歩くなど元デブになりきっている。一方でスリム体型時とデブ体型時の微妙な心情の違いにも注目できる。そこから体型に拘泥されない自分らしさや幸せも見えてくるだろう。(林田力)