武藤は、この日のメーンで船木と新日本プロレスのヤングライオン以来となるタッグを結成し、闘魂三銃士の蝶野正洋&“性悪男”鈴木みのるをスペシャルタッグマッチで迎え撃った。
静かなグラウンドの攻防から、低空ドロップキック、ドラゴンスクリューから足四の字固めとヒザ殺しフルコース。さらにシャイニングウィザードを叩き込んだ。20年ぶりにプロレス復帰した船木もドロップキック、場外戦で蝶野にイスを投げつけるなど大暴れ。最後は、船木のアシストもあり、月面水爆でみのるを圧殺。自身の25周年に花を添えた。
試合後、武藤は「25年前の動きは出来なかったけど、25年やってきたキャリアがあるからカバーできた」と記念試合を振り返った。
ただ、やはり気になるのはこれから20年ぶりにプロレス復帰した船木と全日本の関係だ。船木は今後の今後について「明日、答えます」と明言を避けたが、武藤は「後ろから見ていてまだすごくなるんじゃないかなと。みんなが見たがっていることをやるのがプロレスだからな」と継続参戦を検討している。
内田雅之取締役も「予想以上の動き。順応性の高さに驚いた。相手もあることですけど、レスラーとして断るような理由はひとつも無いですね」とゴーサインを出した。
全日プロ首脳陣が船木を本隊に引き入れようと言うのも無理はない。この日、三冠奪還を厳命していた諏訪魔が敗れ、政権交代は起きないまま。現在まで、三冠戦、チャンピオンカーニバルとGURENTAIの独壇場となっている。
このままいけば、暮れの世界最強タッグ決定リーグ戦まで乗っ取られかねない。それだけに、今の本隊に即戦力の補強は必要不可欠。武藤&船木でリーグ戦出場の可能性も十分あり得る。武藤全日本が政権奪還に向けて、強力なジョーカーを手に入れる。