ダルビッシュは右ヒジの軽度の炎症のため、故障者リスト(DL)入りしていたが、9月4日(日本時間5日)に再検査を行った上で、6日(同7日)に球団が会見。
検査結果はじん帯には異常はなく、炎症を起こしている箇所も順調に回復しているという。それでも、今季は登板させないことを決めた。ジョン・ダニエルズGMは「無理はさせたくない」とした。この背景には、ア・リーグ西地区の最下位を独走中とのチーム事情もある。ダルビッシュは「言われたので、その通り従うだけで仕方のないことだと思う。1年間通してずっと投げることが仕事なので、その仕事ができないというのは悔しい」とコメントした。
今季のダルビッシュは22試合に登板し、144回1/3を投げ、10勝7敗、防御率3.06、奪三振182。ルーキーイヤーから3年連続2ケタ勝利は達成したが、シーズン途中の離脱で、自己ワーストの成績となり、初めて規定投球回数にも満たなくなる。
ダルビッシュといえば、ショッキングなことも起きた。入団以来、良き理解者として、サポートしてきたロン・ワシントン監督が5日(同6日)、突如辞任を発表したのだ。
ワシントン監督は来季まで契約を残していたが、球団を通じ、「つらいことだが、野球から離れることが家族にとって最良の選択。今季の残念な結果とは関係はない」とコメントしたが、真偽のほどは定かではない。
監督辞任について、ダルビッシュは「監督が辞任される理由がハッキリしないので、コメントするのはとても難しいですが、入団以来、私にとてもよくしてくれました。偉大な監督で、人間としても素晴らしい方でした」と話し、動揺は隠せず。
ワシントン監督はダルビッシュを常にエース格として扱い、その登板時には、相性がいいジオバニー・ソトを“専属捕手”として起用するなど、最大限に配慮してきた。次期監督がワシントン監督同様に、ダルビッシュに対して、特別扱いをするかどうかは疑問符が付く。
良き理解者が去り、“恋女房”のソトは、8月24日(同25日)、アスレチックスにトレードされてしまった。
信頼を寄せていた2人が去ったことで、ダルビッシュの心理に微妙な変化をもたらすのは間違いないだろう。来季、これまでのような成績が残せるのか、不安がよぎる。
(落合一郎)