右ヒジに違和感を訴えていたダルビッシュは、同14日(同15日)にMRI検査を受けた結果、右ヒジの軽度の炎症と診断された。ダルビッシュ自身は、検査後、「投げようと思えば、今日も投げられたと思いますし、無理はしないということです。投げたいという気持ちは強いですけど、やっぱり大きなケガにつながってしまうと、来年とかにも響いてくる」とコメント。
ロン・ワシントン監督は、「軽度の炎症という報告を受けている。15日のDL期間終了と同時に戦列復帰すると期待している」と話していた。
ところが、ここに来て、状況は一変。残り少なくなった今季は、無理はさせない方針に変わった。ダニエルズGMは「マウンドに戻る姿を見たいが、危険を冒すつもりはない。これは球団の判断」と語っている。
レンジャーズは同31日(同9月1日)現在、53勝83敗の借金30で、ア・リーグ西地区の最下位(5位)を独走中。首位を走るエンゼルスまでは、29.5ゲームもの差がついており、“眼下の敵”である4位のアストロズまでも5ゲーム差ある。
チームとしては絶望的な状況だが、現場としては少しでも順位を上げたいところで、そのためには監督が「ダルビッシュの力が必要」と考えるのがホンネだろう。
しかし、ダルビッシュが「無理をして投げたくない」と考えているなら、現場も強制することはできない。投げようと思えば投げられる状態なのに、投げないとなると、サボタージュとも取られかねず、チーム内で浮いてしまう可能性もある。
何がダルビッシュの心をそうしてしまったのか? チームが“恋女房”であったジオバニー・ソト捕手(31)を、8月24日(同25日)に、同地区のライバルであるアスレチックスに金銭トレードで放出してしまったことも、少なからず影響しているようだ。
ソトは12年7月、トレードでカブスから移籍すると、ダルビッシュとは抜群の相性の良さを発揮し、専属捕手となった。今季は故障続きで、わずか10試合の出場にとどまっていた。
今季、ソトに次いで、ダルビッシュとコンビを多く組んでいたクリス・ジメネス捕手(31)は、すでに戦力外となっている。ダルビッシュが今季中に復帰した場合は、経験の浅いロビンソン・チリノス捕手(30)か、ソト放出によりメジャー昇格した若手のトマス・テリス捕手(23)とバッテリーを組むことになる。
日本ハム時代から、捕手によって投球が左右されるタイプのダルビッシュは、この状況に不安を感じてしまったのか? 3年来の“恋女房”放出に、ますまずヤル気をなくしたと見られても仕方あるまい。
(落合一郎)