豆本とは、手のひらサイズの本をいう。同展を企画した日本豆本協会代表の田中栞さんは、豆本は「手のひらの中に入るサイズなのに、大きな宇宙が広がる」と話す。作家たちの創作意欲が見る者を感嘆させるオリジナル作品を生み出し、豆本を集めるコレクターも多いという。
熱気に満ちた会場のなか、特に入場者たちの目を楽しませていた豆本の中からいくつかを紹介したい。
【豆・ピアノ】
指先サイズのピアノ形豆本。素材はひのきで、色は、黒と白の2種類がある。塗料は、ともに、うるし。一見では「どこが豆本?」という疑問がわくが、実は、ピアノの鍵盤が豆本になっている。ふたを上げて鍵盤をつまみ出すと、大人の指の爪ほどの大きさの豆本が出てくる。
【ドールハウス豆本】
ミニチュアサイズの家の模型をドールハウスという。ドールハウス豆本は、それを豆本に応用したもの。数種類があったが、ショーケースに展示されていた作品は、本を開くと8つの屋根に区切られた二階屋が現れるタイプ。色は、「Gothic・Pink(ゴシック・ピンク)」と「Gothic・Purple(ゴシック・パープル)」がある。ベランダ、暖炉、燭台、シャンデリアなどもあり、すべて、てづくり。
ほかにも、本物の空豆で型を取った空豆豆本や、ぬりかべやかっぱの妖怪豆本、革装丁の豆本を銀色の紙と包み紙でくるんだチョコレート豆本らが来場者の目を楽しませ、親指の爪よりも小さい上製本豆本・開くと香りが漂う和綴じの豆本・貝殻を表紙に使った豆本なども人気だった。
『てづくり豆本展』では、手に取ることができる見本が置かれていた。熱心なファンの中には、2時間近くも豆本を鑑賞していた人もいたとか。豆本を扱うギャラリーや書店には、サンプルを用意している所もあるそうだ。豆本に触れる機会がある方は、手に取ってご覧になってみると、思わぬ発見があるかもしれない。(竹内みちまろ)