「フロントは真っ青ですよ」と担当記者が言う。中田翔の実力が明確になってきたからで「球団やファンの期待と中田の実力には大きな開きがあることがはっきりし、実戦になったら隠し切れないことが明白になりましたからね」と付け加える。
12日のヤクルトとのオープン戦でも空振り三振に倒れ1打数無安打。これでオープン戦は14打席無安打となり、中田翔の開幕1軍は絶体絶命となった。当初は14日の横浜戦(横浜)をメドに判断する予定だったが、首脳陣は今日13日の教育リーグ湘南戦(千葉・鎌ヶ谷)を見て結論を下す方針だ。この日、唯一の打席は8回。初球の甘い球を見逃し、最後は高めのボール球にバットが回り、あえなく空振り三振。「調子がよかったら初球を見逃すことはない。(最後は)変化球も直球も頭に入ってなかった。完全にやばいっすよ。今のうちに“プロの厳しさを知っとけ”ってことですかね、神様が。ふざけるなよ、神様!」。中田は努めて明るく語り、周囲を笑わせたが…。
中田翔は以前、ヤクルト高校生1巡目の佐藤由規投手と対決し、三振に倒れた際、素直に敗北を認め「佐藤だけでなく、どの投手に対しても(タイミングが)遅れている」と言った。
「プロの世界からすると中田は大変な内容を話している。ストレートに振り遅れるというのはプロでやっていくのに疑問符がつくからです」と大物評論家は言い「つぶれてしまう前に手を打った方がいい」とアドバイスを送る。
フロントもその点は分かっているらしく、様々な意見が出ているそうである。情報通によると「このまま中田を公式戦で使ったらチームも本人もダメになると危機感を持ちはじめたようです。そこで出てきたのが米国留学。人並み外れたパワーを生かすには米国で指導を受けた方がいいという案が話し合われていると聞いていますよ」
いま西武の4番を打つGG佐藤は法大を卒業するとフィリーズのファームに行った。大学時代は強肩を生かした遊撃手で守備の人だった。フィリーズは強肩に目をつけて捕手で契約した。貧弱だった打撃も見違えるようになった。大成功である。
「残念ながら中田の素質を開花させるコーチは日本にはほとんどいないといっていいだろう。米国はパワーで競い合うから中田にぴったり。中田の明るい性格も米国に合っているような気がする。打てなくて2軍落ちするよりはるかに効果がある」(大リーグ通)
ビジネス的にいえば、日本ハムはオープン戦で中田翔の契約金(1億円)はしっかり稼いだだろう。今後、投資するなら米国に置いた方があらゆる面で経済効果がある。
「三振する中田より米国で修行する中田の方が絵になる。マスコミも乗ってくるでしょう」(テレビ局記者)
空振りばかりでしょげかえる甲子園のヒーロー中田翔。米国行きは「中田本人も納得するはず」(担当記者)だし、球団にとっても“怪物隠し”が「英才教育」の姿に一転となり、そのうえ獲得責任もどこかへ消えるということになる。
また、渡米が成功すれば一気にメジャー昇格もありうる。渡米はなかなかの名案かもしれない。