社会
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社会 2017年09月08日 15時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 東芝半導体売却で誰が儲けた
経営再建中の東芝が、8月24日に取締役会を開き、半導体子会社の東芝メモリを米国半導体大手のウエスタンデジタル(WD)を含む「新日米連合」に売却することで大筋合意したが、31日に開催された定例取締役会では、一転、結論が先送りとなった。 当初は産業革新機構、日本政策投資銀行、米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が、それぞれ3000億円、東芝も1000億円、さらにゆうちょ銀行など日本企業が500億円を出資。ほかにも三井住友銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行が融資として7000億円程度を負担。一方、WD社は、普通株に転換可能な社債を引き受ける形で1500億円を拠出する方向で、売却額計1兆9000億円でまとまりそうだった。 それが結局、土壇場になってWDの強硬姿勢などにより膠着。改めて交渉のやり直しとなったわけだが、いずれにせよ、場合によっては3兆円以上の価値があると言われた東芝のメモリは、安値の叩き売りという結果をもたらすだろう。その原因は、売り急いだからだ。 東芝は、6月21日に東芝メモリの売却先に関して、日米韓連合に優先交渉権を与えた。WD社を売却先に入れたくなかったからだろう。東芝とWD社は、東芝の四日市工場に共同で設備投資を行い、生産されたメモリを予め定めた割合で分け合う合弁事業を行っている。東芝とWD社は、それだけの関係だ。 ところが、WD社は東芝メモリの売却計画を知るや、売却にストップをかけ、もし売却するのであれば自社に安値で売れと言ってきたのだ。言い掛かりに近い申し入れだったため、東芝は当然応じなかった。ところが、WD社は東芝の半導体事業の売却を不服として、国際仲裁裁判所に訴えたのだ。 東芝は、それも無視して、日米韓連合に優先交渉権を与えたのだが、日米韓連合が国際仲裁裁判所の訴訟リスクを恐れ、交渉が暗礁に乗り上げてしまった。国際仲裁裁判所は、米国に有利な判決をしばしば下すからだ。そのため東芝は、WDを含む新日米連合に東芝メモリを売却せざるを得なくなったのだ。 私は、言い掛かりをつけてきたWD社が、最終的に1000億円以上の利益を出すのではないかとみている。米ファンドのKKRを含めれば、米国の儲けは、数千億円の規模に達するだろう。 もともと東芝が経営危機に陥ったのは、米国の原子力企業であるウエスチングハウスというババをつかまされたからだ。米国に会社を傾けられ、立ち上がろうとすると、火事場泥棒のような形で、またカネを奪われる。 こんなひどい話があるだろうか。実は、この事態を防ぐ手立てが一つだけあった。それは、東芝が東芝メモリを新規上場させることだ。そうすれば、一般投資家が妥当な価格で東芝メモリを買ってくれるから、東芝にとっても、東芝メモリの従業員にとってもベストの選択だっただろう。実際、東芝内においても、この方式が検討されていたふしがある。 それが実現しなかったのは、銀行が早期売却の圧力をかけたからだった。日本のメガバンクは、一体、どこを向いて仕事をしているのだろうか。
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社会 2017年09月08日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第236回 食料安全保障と種子法廃止
2017年8月、東京では21日間連続で雨が降った。雨天が続いたのは東京に限らず、範囲は関東全域、さらには北日本にも及んだ。日照時間が不足した結果、キュウリやネギなど、一部の野菜の卸売価格が平年の1.5倍程度に高騰した。 筆者は「防災安全保障」に絡め、「日本国民が分散して暮らす重要性」について語っている。日本は自然災害大国である。自然災害大国である以上、国民は可能な限り分散して暮らし、いざという時は助け合わなければならない。だからこそ、交通インフラを整備し、各地方が経済成長し、「経済力」、すなわちモノやサービスを生産する力を蓄積する必要があると力説しているわけだ。 同じように、食料安全保障の面では、 「日本の各地域で、食料生産が可能なこと」 もまた、極めて重要な考え方になる。何しろ日本の食料生産が一地域に集中してしまうと、その地域が天候不順になっただけで「全滅」という話になりかねない。 もちろん、外国からの食料輸入を否定するわけではない。とはいえ、いずれにせよ安全保障の「肝」は供給能力の多様化であり、集中化、一本化ではないのだ。 逆に、「おカネ」「利益」に至上の価値を置くグローバリズムは、効率性追求の観点から「特定の○○」への特化を好む。俗にいうモノカルチャーだ。 いわゆる大航海時代から、グローバリズムはモノカルチャーであった。アメリカ大陸で砂糖のプランテーションを作り、インドの小麦農家には綿花、芥子、藍といった商業作物への転換を強い、マレーシアのジャングルを焼き尽くし、ゴムの木を植える。なぜならば、そちらの方が「利益」になるためである。 モノカルチャーは、非常事態に対して極めて弱い。少し天候不順になるだけで、その国(いわゆる植民地)では餓死者続出となる。イギリスに支配され、インドの小麦農家が綿花への切り替えを強制された結果、19世紀だけで、2000万人以上のインド住民が餓死した。イギリスによって、当時は先進国であったインドが貧困に追い込まれた。 餓死者を続出させたという意味で、イギリスのインド支配ほど残酷な事例は、毛沢東の大躍進、スターリンのホロドモール(ウクライナ人に対する餓死強制)以外は知らない。 それはともかく、安全保障とはいずれにせよ多様化、分散化が重要なのだ。ところが、非常事態に備えて供給能力を多様化、分散化しても、非常事態が発生しなかった場合は「ムダ」という話になってしまう。 ムダを極力排除しようとするグローバリズムと、国家安全保障の相性が悪い理由は、 「日本の特定地域のみで食料生産が行われるようになって構わないのか?」 という命題について考えるだけで、理解できるはずだ。 モノカルチャーは危険である。最近の日本で言えば、「種」の寡占化を招きかねない種子法廃止は、まさに「亡国の政策」としか呼びようがない。都道府県に稲と麦、大豆の種子の生産や普及を義務付ける主要農作物種子法(以下「種子法」)が、来年4月に廃止されることが決まった。種子法は、大東亜戦争敗北後の食糧増産を目的に、1952年に制定されたものだ。政府が地方交付税で予算を支出し、都道府県が管理する原種などから種子を生産し、毎年、農家に配布することで作物の品質を保つ仕組みになっている。 種子法廃止の最大の問題は、これまで「税金(地方交付税)」を使い、各都道府県や公的機関、農協、農家が協力して、精密機械並に精緻に「原種、原原種、優良種」である種を各圃場で生産し、農家に多様な種を「安く」提供していた仕組みに対し、予算がつかなくなることである。 実は、種子法廃止もまた「緊縮財政」の問題なのだ。 種子法が廃止され、都道府県の圃場管理の予算がなくなると、間違いなく種子の価格は上がる。というよりも、種子の価格を引き上げることこそが、種子法廃止の目的なのである。 モンサントやカーギルなど、アメリカのアグロバイオ企業、穀物メジャーの代理人である日本の規制改革推進会議は、平成28年10月6日 未来投資会議構造改革徹底推進会合「ローカルアベノミクスの深化」会合 規制改革推進会議農業ワーキング・グループにおいて、2.施策具体化の基本的な方向(1)生産資材価格の引下げ (10)戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する。 という、意味不明な理屈に基づき、種子法廃止を提言した。 これまで、日本は「種子法」により、税金を使い「安く、優良で、多種多様な種子」を農家に提供してきた。日本の優良で安い種子は、「税金(地方交付税)」により担保されてきたのである。それを「生産資材価格の引き下げ」というお題目で廃止する。意味が分からないのは、筆者だけではあるまい。 種子法が廃止されれば、間違いなく日本の種子は「高騰」の方向に向かう。そもそも、日本の種子が安すぎることを問題視したモンサントをはじめとするアグロバイオ企業が、種子法の廃止を望んだのである。 しかも、種子法廃止の1カ月後に可決された農業競争力強化支援法により、 「都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」 という、異様としか表現のしようがない条文までもが法律化されてしまった。 過去何十年という期間、税金を使い、日本の都道府県が蓄積してきた「種子のノウハウ」が、外資系を含む企業に提供されていくことになるわけだ。最終的に、日本の種子産業はモンサントに代表される巨大アグロバイオ企業に支配されることになるだろう。50年後には、天皇陛下はモンサント産遺伝子組み換えの稲で新嘗祭を執り行うことになる。 いかなる言い訳をしようとも、安倍政権、そして種子法廃止法案および農業競争力強化支援法に賛成票を投じた国会議員たちは、亡国の輩なのだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年09月08日 10時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 佐藤栄作・寛子夫人(下)
折り折りの「反佐藤」勢力を封じ込め、7年8カ月という戦後最長の政権維持を誇った“不倒”の佐藤栄作が倒れた。政権の座を降りて3年足らずの昭和50年(1975年)5月19日、東京・築地の料亭『新喜楽』である。 当時、その場に同席していた大物代議士の証言が残っている。 「夕方からの親しい政財界人が佐藤を囲んで懇談する“長栄会”の場だった。佐藤元首相のそばに福田赳夫(のちに首相)がいて、佐藤は『君、核防止条約は頼むよ。なにしろオレはノーベル平和賞だからね』などと、一杯入っているからかふだんより冗舌だった。そのあと、トイレにでも立とうと思ったのか、立ち上がったときだった。ひっくり返った。何度か一人で立ち上がろうともがいていたが…」 その場に寝かされた佐藤は、昏々と眠り続けた。その後の入院先では、後頭部の静脈が切れての脳内出血であることが判明した。 妻の寛子は、その日の夕方、美容院に出掛けていた。6時半、私邸に戻ったところで佐藤秘書からの一報の電話でこれを知った。 寛子は筆者のインタビューで、当時の心境などをこう答えてくれたものだった。 「初めは、脳貧血かと思っていました。しかし、病院では主人の体をつねってみたけど、いびきをかいているだけ。このまま死に至るとは、これっぽっちも思っていなかった。意識不明、眠り続ける主人を見ながら、私は主人が意識が戻ったらまず何を言おうか、そんなことばかり考えておったですよ。主人に、『おまえに苦労をかけてすまんな』などと言われたら何と答えていいかと」 佐藤は倒れて16日目の6月3日、昏睡状態のまま臨床を迎えた。寛子は、こう言葉を続けた。 「16日間の時間は、『この辺であの世へ行けば、寛子もあきらめてくれるだろう』という栄作の精一杯の演技じゃなかったかと思っていますね。倒れてすぐ亡くなったら、私は間違いなく狂っていたと思う」 ちなみに、佐藤の仮通夜の日、弔問客の往来で取り込み中の佐藤家には、親しい関係者から弔問客用に腹が減るだろうとのことから丼物などが届けられた。なかに、これは旨いと皆がうなずいた丼物があった。誰からの差し入れか、丼を何気なく裏返した人物が言った。「“竹下”と焼きが入っている。万事に目配りの利いた佐藤の子分であった竹下登からのものだった。竹下はその後、佐藤派、田中派と派閥が流れる中で、求心力を集め、ついには首相の座を手にすることとなる。弔問客はあの竹下さんなら、さもありなん」と頷き合ったとされている。 一方、寛子はインタビューで、こんな秘話も語ってくれていた。 実は、佐藤は事のほかパチンコ好きで、一人ふらりと私邸から徒歩5分ほどの小田急線・下北沢駅近くのパチンコ屋に通っていたのだった。「花輪が出ている店はよく入る」と自信を示し、しばしば嬉々として景品の入った袋を抱えてきたそうだ。もっとも、これは大蔵大臣になったことを契機に、「税とバクチ」の関係から行かなくなった。 また、密かに馬券も買っていたようで、秘書に買いに行かせるそれは佐藤の政治手法同様、穴狙いにあらずの“堅い”馬券専門だったそうである。やがて首相の座に就き、ノーベル平和賞も受賞した佐藤は、ナカナカだったということである。 そのうえで、寛子にはこんな忘れられない思い出がある。 佐藤が亡くなる1年ほど前、寛子は寝室のテレビの上に1枚の紙切れが置いてあるのを発見した。見ると、「良寛戒語」20カ条のコピーであった。「良寛戒語」とは、江戸時代後期の僧侶・歌人のあの「良寛さん」の訓話である。良寛は俗世に嫌気がさし、弟に家督を譲って出家、20年間の放浪の旅に出て修行を重ね、そこから得た“人生訓”というものであった。 寛子が手にしたその「良寛戒語」の下記の言葉に、○印が付けてあった。一、言葉の多さ一、口の早さ一、さしで口一、よく心得ぬことを教ふる一、すべて言葉は惜しみ言うべし 寛子はこの○印を「あなたが私のために付けたのか」と佐藤を質したことは、一度としてなかったそうだ。 「主人が亡くなったのは、『もうこの辺でオレがいなくなってもやっていけるだろう』と思ったからじゃないかしら。夫婦というものはよく愛しているとすぐ迎えに来ると言いますが、栄作は…」 こうも述懐してくれた寛子が、その栄作がいる泉下に旅立ったのは、夫の死後から12年後の昭和62年4月。葬儀のあと家族が寛子愛用の文箱を開けてみると、かつて「吉田(茂)学校」優等生として佐藤と互いに張り合った池田勇人元首相の未亡人・満枝と一緒に、ゴールデン・ウイークに伊勢志摩旅行に行く予定のメモが残されていたそうである。(次号は田中角栄・はな夫人)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2017年09月07日 10時00分
お家騒動から2年で過去最大赤字 『大塚家具』久美子社長の絶体絶命
ド派手なお家騒動で一躍知名度が高まった大塚家具。あれから2年が経ち、今度は経営で絶体絶命のピンチを迎え、株主などから懸念の声が上がっている。 「ここにきて大塚家具は、一気に経営が悪化している。8月4日に出した'17年6月中間決算発表で、売上高は前年同期比11.3%減の214億円で、最終損失は46億円に膨れ上がることが判明。これにより'17年12月期の業績予想を下方修正し、売上高は当初の530億円から8%減の428億円、営業利益は5億円の黒字から43億円の赤字、最終損失が63億円と、過去最悪になる見込みとした。株主の間では動揺が広がっています」(企業ライター) 大塚家具は、創業者の大塚勝久氏のもと、会員制の徹底した接客を売りに一代で急成長。しかし、バブル直後の'03年に出した730億円の売上高以降、業績が頭打ちとなった。 「'08年に初の赤字に転落したため、翌年に娘の久美子氏が社長に就任した。ところが、久美子氏は父親が築いた会員制から、同じ家具店のニトリやイケアを意識した路線へと大きく路線変更したことで、勝久氏との争いの火種となった。結果、株式争奪、いわゆるプロキシー・ファイトとなり、久美子氏が勝利したのです」(同) この騒動のイメージダウンによる顧客離れもあり、一時的に売上は落ち込んだが、メディアの注目を浴びた“久美子効果”により来店客が増加。'15年は増収増益で再び黒字化となる。 「しかし、一段落すると大塚家具の真価が問われ始めた。'16年は売り上げを120億も減らし463億。そして最終損益は43億という巨額の赤字に転落したのです」(経営アナリスト) '17年も、この流れを好転させる画期的なきっかけを得られないまま。それでも大塚家具が今日まで何とかやってこられたのは、好調時に蓄えた豊富な現金と有価証券があったからだ。 「現金は'14年末には115億円、有価証券も簿価で118億円もあったのです。しかし、それが今では現金が22億円、有価証券も30億円にまで減少している。つまり'18年は、借り入れさえ必要となってくるということ。現状のように売り上げ増につながる“玉手箱”がない経営内容では、金融機関も貸し出しには二の足を踏むでしょう」(同) 大塚家具としても、競合店を意識してニトリの近くに店舗展開するなど、それなりに努力はしているが、ジリ貧からは脱却できない。 その背景を、経営コンサルタントがこう指摘する。 「ニトリは'17年2月期連結決算で、売上高が対前年度比12%増、営業利益が同17%増、親会社株主に帰属する当期純利益が同28%増で、30期連続増収増益を達成している。つまり、“いいものを安く”で長年にわたり営業努力をしてきた。イケアも同様です。しかし大塚家具の場合、もともとが高級家具を販売し、その志向が強い客を選んできた。また、ニトリやイケアと同じ土俵とはいえ、やはり両者より価格は高く、どっちつかずで客が遠のく傾向にあるのです」 だが、この苦境にただ指を咥えているわけにはいかない。起死回生のため、今夏には新たに仮想現実(VR)で買い物ができるサービスを本格導入するなど、現状打破に躍起だ。 「VRを使用したバーチャルショールームは、スマートフォンやタブレット、PC画面で、店内での買い物を疑似体験できるウェブコンテンツ。新宿ショールームの建物内部を1階から7階まで高解像度のパノラマ画像で再現したもので、店内をバーチャルで体感できる。実際に店舗へ行かずとも、手に取るように家具の詳細や実寸が分かるというものです」(IT企業関係者) さらに、商品が欲しいと思えばオンラインショップの商品ページで購入もできる。これがどこまで効果を発揮するかは不透明だが、若者を意識した新たな挑戦だ。また、地方の中小店舗の展開も活発で、9月2日スタートで、宮崎県宮崎市の百貨店内に同県初の出店をする。 ただし、こんな声があるのも事実。 「大塚家具は、今の雰囲気で爆発的に売り上げを伸ばすのはなかなか難しい。そもそも骨肉の争いの後、一時、急激に売り上げを伸ばしたのは“美人”がウリの久美子氏のお詫び販売だった。こうなったら、高田明前社長のカリスマ性で伸びた『ジャパネットたかた』ではないが、もっと久美子氏を当時のように前面に押し出して世間にアピールするしかないのではないか。少々値は張っても“女性の視点”を重視した売り場作りをすることも、それに当てはまるでしょう。そうしてニトリなどとの違いを見せる。起死回生できるチャンスは大いにあります」(前出・経営コンサルタント) お嬢さま社長の崖っぷちからの開き直りはあるのか。
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社会 2017年09月06日 10時00分
森友学園問題 『国税庁』は逃げ回るのが仕事? 「貝になった」佐川長官の醜い保身術
「所轄の税務署では、税金徴収にあたり“佐川が長官なら税金は払いたくない”という納税者が続出。このままでは、来年の確定申告時などで大混乱が予想される」(税務署関係者) 国有地売却を巡り、当時、財務省理財局長だった佐川宣寿氏は国会答弁で「記録が残っていない」「資料はすべて廃棄した」などと安倍首相を擁護。結果、7月5日付で国税庁長官に栄転した。 「籠池夫婦が詐欺容疑で逮捕ってかわいそうだろ。これじゃ、トカゲのシッポ切りじゃん。腐ってるよな。安倍首相夫婦はどうなっているんだよ」 あのビートたけしも、こう怒りのコメントをする森友学園問題。大阪地検特捜部は8月21日、国の補助金をだまし取った疑いで逮捕された前理事長の籠池泰典容疑者と妻の諄子容疑者を、大阪府の補助金詐欺などの容疑で再逮捕した。しかし、国有地の大幅値引きで疑惑の目が向けられた安倍首相夫妻はもとより、国会答弁で安倍政権をかばい続け、国税庁長官に昇進した佐川氏への批判は広がり続けている。 「ところが、佐川氏は就任会見を開かないどころか、マスコミの前に姿を見せず逃げ回っている。国税庁長官は定例会見がないだけに、就任した際の会見は徴税に対する姿勢を示すためにも欠かせない。これまで着任後2〜3週間で開かれていたのですが、2カ月が経過しようとしているのに開かれないのは異常なことですよ」(国税庁記者クラブ関係者) 記者クラブでは会見を開くよう再三、国税庁に要請しているが、国税庁広報は「就任会見の予定は未定」と繰り返すばかりだという。 「森友問題の質問が集中するのが目に見えているから開かないだけ。おそらく事務方がお願いしても、佐川氏は聞く耳を持たない。“貝になったまま”このままうやむやにするつもりでしょう」(同) しかし、そうは問屋が卸さない。自民党の石破茂元幹事長はTBSの番組で、佐川氏について「地方で“税金を払いたくない”という人が出てきた。国税庁長官は“皆さん、払ってください”という立場。それが一切公の場に姿を現さない。納税者1人1人と向き合っているのか」と批判。さらに市民団体『森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会』も8月21日、麻生太郎財務相に佐川氏の罷免を求める約1万人分の署名を提出したのだ。 たけしの言うように“トカゲのシッポ切り”で終わらせてはいけない。 「首相を守るため、『あり得ない答弁』を平然と繰り返して栄転した」(自由党・森ゆうこ氏) 「事実に背を向けてでも、官邸の意向に従っていれば出世できるというあしき前例になる」(閣僚経験者)と、国会内でも四面楚歌の状態だという。当たり前だ。それまでして権力にしがみ付きたいか、保身がそんなに大事か「恥を知れ!」。
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社会 2017年09月05日 22時45分
女性弁護士が「真空パック アダルトビデオ」を批判!内容巡って大激論勃発
3日、弁護士を名乗る女性のツイートをめぐり、議論が勃発している。 きっかけは、弁護士を名乗る女性が「真空パック アダルトビデオで検索して吐き気」「あれに性的に興奮するなら猟奇的」などとツイートしたこと。 女性はさらに「作り物であったとしても、あれに性的に興奮するのは猟奇的。猟奇的な嗜好も内心に留まるなら自由だけどその嗜好が表出した表現物には恐怖を覚えるとしか。」「本当に真空パックにしているなら即刻全現場でやめるべき。死人が出かねない」などと、「真空パック アダルトビデオ」に対して不快感を露わにした。 このツイートに、一部ネットユーザーが「真空パックが危険であることは認めるが、真空パックに入れられたいという趣味嗜好を持つ女性がいる」「性的嗜好の弾圧だ」「女性も同意した上で真空パックに入れられている」「なんでそんなものを検索したんだ」などと批判の声をあげる。 これに対し女性弁護士擁護側からは「女性を真空パックに入れるのは異常すぎる」「そもそも危険で死に至る可能性もあるのでやめるべきだ」「気になったら検索するのは当然だろう!」との意見が。その意見が全面的にぶつかりあい、激しい議論が繰り広げられている。 ちなみに、女性弁護士と同じようにGoogleで「真空パック アダルトビデオ」と検索すると、真空パックに入れられた裸の女性が何人も登場する。その光景は異常なもので、呼吸ができているのかなど、心配にならざるをえない。やはり女性弁護士の真空パックアダルトビデオに対する危険性の指摘はまっとうなもののように思える。 しかし、「あれに性的に興奮するのは猟奇的」としてしまったこと、常日頃からツイートでフェミニストぶりを発揮していることなどから、苦しむことに性的興奮を覚える層や、その他特殊性癖を持つ層、そして男性からの怒りを買ってしまったようだ。 また、多くのネットユーザーは女性弁護士がなぜ『真空パック アダルトビデオ』のワードを検索したのかについて、疑問に思っている模様。そして、なぜわざわざTwitterで批判をしたのか。この点については、未だ説明がなされていない。 興味本位で検索したのなら、そっ閉じすればよかったようにも思えるのだが。いずれにしてもこの件についての騒動は、まだまだ続きそうだ。
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社会 2017年09月05日 10時00分
衆院トリプル補選 安倍首相の背筋を凍らせる田中真紀子出馬
トリプル補選での復活があるのか――。8月18日に長島忠美衆院議員が死去したことにともない、愛媛3区、青森4区と同時に10月22日投開票で新潟5区補選が行われるが、これに田中真紀子元外相が本気で出馬するのではないかとの情報が駆け巡り、安倍自民党に緊張が走っているという。 森友学園や加計学園を巡る疑惑、閣僚の失言、自民党議員のスキャンダルなどが相次ぎ、一時は支持率が危険水域まで降下し内閣改造に追い込まれた安倍内閣。中でも今も引きずる加計学園問題で、前川喜平前文科事務次官の「官邸最高レベルの指示や総理のご意向の文言が内閣府の担当者から文科省に出され、それを文字化した文書は存在する」との爆弾発言は、政権を揺るがすに十分な材料となった。 「その前川発言が注目を受けたのと同時期、各メディアにマスコミ嫌いで有名な真紀子氏サイドから接触があり、“加計問題は安倍首相が元凶”とのコメントを方々に放ち続けていた。そこで“政治家は引退か?”と質問されると『私の最大の関心事は政治、それがDNA』と言う思わせぶりな発言を繰り返した。そんな矢先、かつて真紀子氏を破った長島氏が急逝したことから、出馬説が飛び交ったのです」(全国紙政治部記者) 真紀子氏と言えば、今も歴代首相で断トツの人気を誇る田中角栄元首相の長女。1993年の衆院選で初当選し、1年生議員で科学技術庁長官を務めるなど、政界デビュー時から大きな注目を受けた。 「真紀子氏はそのとき49歳で、38歳の安倍首相は同期。安倍首相の祖父である岸信介元首相の後継、福田赳夫元首相は、角栄氏と首相の座を巡り争った。2人は世代を越えてもこの“角福戦争”に因縁を持つライバル関係にあったのです」(同) 安倍首相は2000年の森内閣、翌年の小泉内閣で官房副長官に抜擢され、'02年には小泉首相の訪朝に同行し拉致被害者奪還で功績をあげて一躍脚光を浴びた。その後も自民党幹事長、内閣官房長官に就任。'06年に総裁選へ出馬し、52歳の若さで首相の座を射留める。 一方、真紀子氏も科技庁長官後は小泉内閣で外相に就任。両人とも競い合うように出世街道を超特急で駆け上がった。 「安倍さんが戦後生まれの初首相なら、当時は真紀子さんも日本最初の女性首相にならんばかりの勢いだった」(自民党ベテラン議員) しかしその後、消えた年金問題や持病の潰瘍性大腸炎の悪化による退陣で一時挫折するも、'12年に奇跡の首相カムバックを果たした安倍首相に対し、官僚との対立で外相を更迭された真紀子氏は、秘書給与問題でつまずき議員辞職に追い込まれた。'09年には民主党に入党し文科相に就任したが、党が政権の座から滑り落ちると、真紀子氏も'12年の衆院選で先の故・長島氏に大敗。 「同期のライバル関係は完全に水が空き、安倍さんの圧勝。真紀子さんはそのまま政界から消えるものだとばかり思っていたのです。しかし、やはりしぶとい。好機を虎視眈々と狙い、安倍内閣の低迷を見て本人の言うDNAが疼いたんでしょう」(同) 新潟では昨年7月の参院選で、野党統一候補として出馬した森裕子氏が自民党現職の中原八一氏とデッドヒートを繰り広げ、2000票余りの差で勝利した。また、同年10月の新潟県知事選は民主・共産ほか野党連合の推薦を受けた米山隆一氏が、自民・公明・連合新潟推薦の森民夫元長岡市長に約6万票の差をつけ勝利している。 新潟県議会議員関係者が言う。 「森裕子氏と米山氏のため、真紀子氏サイドの地元関連企業などがフル稼働したと聞いています。真紀子氏はこの連勝で、自分が出馬する際の手応えをかなり掴んだのではないか。逆に自民は、改めて“田中軍団”の脅威を思い知らされることになった」 さらに、地元での相変わらずの真紀子人気とともに、全国では昨年から“角栄ブーム”が続く。 「各出版社から出される“角栄本”はいずれも好調で、それに乗っかって真紀子氏も今年3月に自著『父と私』を出した。政界においても、このブームに乗らない手はない」(同) これらの好材料で出馬説がますます強まるのだが、実際に勝ち目はあるのか。新潟県政記者はこう語る。 「急逝した長島氏は新潟県中越地震で被災した旧山古志村(現長岡市)の最後の村長で、地元住民を守った英雄。これまでの有権者は、自民公認云々というより、その人物に1票を投じてきたという向きが強い。だから今、新潟5区で他の人となれば、やはり真紀子氏となる。安倍自民党の傲慢さへの嫌気も加わり、相当な追い風が吹くでしょう」 真紀子氏は8月22日、出演したラジオ番組で「内閣改造なんて必要はない。総辞職」と安倍政権をこき下ろし、補選出馬については否定しながらも、スポーツ紙の取材に「何が起こるか分かりませんよ」と煙に巻いている。 「安倍政権は3補選で負け越せば、確実に求心力が下がり、次の総選挙勝利が厳しくなる。であれば、補選に合わせ一気に解散総選挙もありだろう。ただ、そんな中で真紀子氏が出馬となれば厄介なことになる」(自民党関係者) 安倍首相にとって、またもやお腹が痛くなりそうな人物の登場となるか。
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社会 2017年09月04日 14時00分
民間企業が続々参入 加熱する宇宙ビジネス主導権争い
7月30日、北海道室蘭市から南に約50キロ、人口6000人足らずの街、大樹町に、日本中の熱い視線が注がれた。ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が創業した宇宙ベンチャー企業『インターステラテクノロジズ』が、国内初の民間企業単独での開発ロケットの打ち上げに挑んだからだ。結果的には通信トラブルで失敗に終わったものの、サイエンス誌記者はこう言う。 「失敗とはいえ、この試みは画期的なこと。オール自社開発で、総コストは公表されていないが、資金はクラウドファンディングで集められた約2200万円がベースとなっている。これまで日本で打ち上げられたロケットといえば、JAXAのH2A機では、開発費約1500億、打ち上げに50億円前後。その高コストが民間の宇宙ビジネス参入の大きなネックとなってきたのです。それを堀江氏が、今回の観測用ロケット『MOMO』によりもう一歩のところで引っ繰り返そうとしているわけですからね」 ただし、この『MOMO』の成功を待たずしても、世界の宇宙ビジネスはヒートアップしているという。 「世界の宇宙航空市場規模の拡大がそれを表しています。内閣府の調査では、全世界で約23兆円。年3%前後の伸びで、日本でも1.2兆円からさらに増えつつある。日本の国内外で、宇宙ビジネスへの期待値が大いに高まっているのが現状です」(ベンチャー企業関係者) ロケット開発と打ち上げの高コスト破壊の先駆けとなったのは、やはりアメリカ。今、最も注目を集める電気自動車企業、テスラモーターズのCEOでもあるイーロン・マスク氏が'02年に創業した、宇宙ビジネス企業のスペースX社だ。 「スペースX社は、あらゆる面でコストカットし、打ち上げにかかっていた120億円以上を半額近くまで引き下げ、さらにロケットの再利用に成功。2回目からの打ち上げ費を1億円前後まで落とすことを可能にし、宇宙ビジネスを活気づけたのです」(同) その宇宙ビジネスは、大きく分けて6つの分野がある。 「まず、堀江氏の『インターステラテクノロジズ』に象徴されるような、ロケット製造、衛星など、ハードやソフト分野での産業。さらに、衛星を使用して通信、放送、さらにはGPS分野となる。GPSにおいては、JAXAが打ち上げた衛星『みちびき』が来年にも運用を開始し、例えば、無人トラクターが農業をする時代も現実味を帯びています」(前出・記者) また、不要な衛星などの宇宙ゴミを取り除くスペースデブリでの分野、宇宙葬や人工流れ星を出すなどの派生型分野、スペースX社のマスク氏が近未来での実現を目指す火星移住計画を含めた旅行分野、日本技術がトップを走っているとされる宇宙での太陽光発電分野がある。 世界の宇宙ビジネス機運の盛り上がりを背景に、国内各企業の動きも活発化している。 中堅商社の兼松は、宇宙ベンチャー、ベクター社(米)と今年2月に提携。ベクター社が打ち上げる衛星用小型ロケットの使用を日本企業に売り込む。 「'18年以降にサービスを開始予定で、最大の特徴は大型ロケットの50分の1という超安価なコストにある。日本円にして約1億7000万〜約3億4000万円というから驚きです」(商社関係者) 今後、重さ50㎏以下の超小型衛星の需要が急増すると見られる。これまでは衛星を使いたい企業が多額の費用をかけた大型ロケットを使用し、他社と乗り合いをしていたが、今後は低価格ロケットでビジネスチャンスに合わせて打ち上げられるのだ。 もちろん、その小型衛星専用のロケット開発についても、日本企業が乗り出している。 「キヤノン電子や、日本の宇宙開発に一貫して技術提供してきたIHIエアロスペース・エンジニアリング、さらに大手ゼネコンの清水建設、旧日本開発銀行の日本政策投資銀行などが共同で開発に着手する動きを見せています」(同) 一方で、東大、東工大で宇宙工学に携わった学生らが起業したアクセルスペースでは、超小型衛星の開発で“ジャパン宇宙ビジネス”の突破口を開こうと奮闘中だ。 「世界一の富豪となったアマゾンのCEO、ジェフ・ベゾス氏も宇宙企業を立ち上げ、開発を続けていたロケットが3月、ベールを脱いだ。90メートル級の超大型、しかも再利用する一段目は逆噴射での着陸で回収できるという。ベゾス氏の野望は当然、月などに移住した人々への宅配なのでしょう」(開発企業関係者) あらゆる技術、商法を尽くし、どう宇宙ビジネスにかかわっていくか。日本でもその主導権を握ろうと、水面下で激しいつばぜり合いが始まっている。
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社会 2017年09月03日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 総理はあきらめていない
8月3日の第三次改造内閣の発足を受けて、メディアはポスト安倍に関心を移した。危機的な内閣支持率を受けての改造だったのに、サプライズもなく、ただ重鎮たちを並べた派閥均衡人事だったからだ。 さらに、安倍総理の悲願である憲法改正についても、総理自身が「スケジュールありきではない」、「内容は自民党内で検討してほしい」と憲法改正を投げ出すような発言をしたのだから、メディアが安倍政権の終焉を感じ取るのも無理のないことだった。 しかし、私は、安倍総理が憲法改正をあきらめたわけではないと考えている。それどころか、危機的状況のなかで、憲法改正に向けて最善の手を打ったのだと思う。 改造内閣は、確かに新鮮味には欠けるが、これまでのように閣僚が国会で答弁ができなくなったり、スキャンダルが出てきたり、暴言が問題になったりする可能性は少ない。 国民も政治にスキャンダルを期待しているわけではない。その証拠に、これまでの歴史をみても、内閣改造で支持率が上昇するのは、人気取りの新顔を並べたときではなく、重鎮を揃えたときなのだ。その法則は、今回も見事にあてはまった。共同通信社が内閣改造を受けて実施した世論調査では、内閣支持率は44%と、前月を9ポイントも上回ったのだ。 朝日新聞の世論調査こそ2ポイントの上昇にとどまったが、報道各社が行った世論調査では、ほぼ大幅な支持率上昇が見られた。安倍政権は危機的状況を、内閣改造で乗り切ったとも言えるのだ。 もちろん、それでも憲法改正に必要な国民投票を乗り切れる支持率には回復していない。しかし、安倍総理には秘策がある。それが、再来年10月から予定されている消費税率の“引き上げ凍結”、あるいは“引き下げ”だ。 安倍総理は8月5日の読売テレビの番組で、消費税率10%への引き上げを「予定通り行っていく考えだ」と明言している。だが、その発言には何の意味もない。過去2回の消費税引き上げ延期の際にも、直前まで同じセリフを言っていたからだ。 それでも、凍結や引き下げを財務省が許すはずがない、と思われる人が多いかもしれない。しかし、これから財務省に、ノーパンしゃぶしゃぶ事件以来の大逆風が吹く可能性がある。森友学園問題だ。 国有地を8億円引きで払い下げた問題は、現在、大阪地検特捜部が、立件が可能か調査をしているが、これまで明らかになった証拠によると、近畿財務局が森友学園の支払いをゼロに近づけるように、地中のゴミの撤去費用を水増ししていた可能性が高まっているのだ。 つまり、少なくとも主犯は財務省であることは間違いない。その動機はともかく、もし、財務省内から逮捕者が出るようなことがあれば、同省の信頼は地に落ちる。消費税の引き上げなど言えなくなるだろう。 そうしたなかで、いまから1年後、安倍総理が消費税の凍結あるいは引き下げを大義として、解散総選挙に打って出たらどうなるだろうか。おそらく、選挙で自民党が圧勝し、その勢いで憲法改正の国民投票に臨めば、過半数の支持を得られる可能性は高いと言えるだろう。
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社会 2017年09月02日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第235回 仏マクロン大統領のグローバリズム
2017年4、5月の大統領選挙において、反グローバル派が左右に分裂した結果(ルペン氏とメランション氏)、グローバル派が相変わらず政権を握っているフランスでは、マクロン大統領の支持率が早くも急落している。人気失速の背景には、緊縮財政の強行と、マクロン大統領の権威主義的な振る舞いがあるとされる。 8月3日に仏メディアが伝えた世論調査では、マクロン大統領の支持率は何と36%。7月から7ポイント減り、不支持が49%で支持を上回った。意外だろうが、マクロン大統領の支持率は、就任から同時期の比較において、人気低迷に悩まされたオランド前大統領をも下回っている。 マクロン大統領の「前進」は、6月18日の国民議会選挙で、議席数577のうち、350を獲得、過半数を得た。ところが、国民議会選挙後、閣僚の辞任が相次ぎ、さらに7月19日にはフランス軍制服組のトップであるドビリエ統合参謀総長までもが辞任。ドビリエ統合参謀総長はフランス政府の防衛予算の削減に抗議し、 「現在の環境下では、フランスやフランス国民の保護に必要な防衛力をもはや保証できない」 と、表明。 国防予算のみならずマクロン政権は財政赤字対GDP比を3%以内に収めるべく、約45億ユーロ(約5900億円)の歳出削減を宣言した。公共事業、住宅補助など各種の削減に乗り出し、影響を受けるフランス国民の怒りを買っている。なぜ、フランス政府が緊縮財政路線を採っているのかといえば、グローバリズムの国際協定たるEU(欧州連合)の規定で、財政赤字は対GDP比3%に収めることになっているためだ。 ちなみに、日本の緊縮財政の始まりとなった'97年11月の財政構造改革法においても、「国及び地方公共団体の財政赤字額をGDPの3%以内にすること」が定められていた(第四条)。なぜ、緊縮財政主義者は財政赤字の許容額を対GDP比「3%」に設定したがるのだろうか。理由がさっぱり分からない。 それ以前に、財政赤字とはデフレや不景気のときに拡大し、インフレ率が高い時期は縮小するなど、機動的に変更するべきだ。特に、デフレという需要不足であるにも関わらず、財政赤字を対GDP比3%といった形で抑制されてしまうと、デフレ脱却に必要な有効需要の創出が果たせない。結果的に、デフレは延々と続き、国民はひたすら貧困化していく羽目になる(現代の日本が、まさにそうだ)。 ところで、マクロン政権がフランスの「労働規制の緩和」に乗り出そうとしていることもまた、フランスの労働者階級のひんしゅくを買っている。緊縮財政+労働規制緩和という政策パッケージこそが、マクロン大統領の支持率急落の主因なのだ。 フランスの失業率は相変わらず10%前後で高止まりしている。その理由について、巷のエコノミストたちは例により「労働規制」が強固であることを上げている。'16年時点の雇用者に占めるパートタイム労働者の割合(パートタイム比率)は、ドイツが26.7%、イギリスが25.2%に対し、フランスは18.2%。法定最低賃金は、ドイツが8.84ユーロ、イギリスが8.6ユーロ程度であるのに対し、フランスは9.76ユーロ。 確かに、フランスの労働規制は英独両国よりも強固である。フランスの労働者は、英独に比べて守られている。もちろん、高失業率は問題だ。とはいえ、フランスのインフレ率は'17年7月のデータで対前年比+0.8%と、1%を割り込んでいる。さらに、国債金利(長期金利)は0.738%と、日独両国同様に1%未満なのだ。 すなわち、政府が国債を発行し、需要を創出すれば、高失業率の解消は可能なのである。ところが、やらない。いや、できない。 フランスがEUやユーロに加盟している限り、「低インフレ率、低国債金利」という資源(リソース)を、雇用改善のために国民経済に投じることは不可能だ。EUは財政赤字の拡大を禁じており、ユーロは中央銀行による国債買い取りを不可能とする。 政府が金融・財政政策による需要創出に「国際協定」により踏み出せない以上、高失業率の改善のためには、 「労働規制を緩和し、労働者の処遇を落とし、国際的な価格競争力を回復する」道以外には存在しない、という話になってしまうわけだ。 逆に言えば、フランスで“企業の利益”を拡大する労働規制緩和を推進するためには、高失業率と緊縮財政が“必須”なのである。EUが緊縮財政を強要するからこそ、フランスでは大手企業やグローバル投資家が望む労働規制緩和が正当性を帯びる。 フランスが労働規制の緩和を実施すると、企業は人件費をカットしやすくなる。すると、特にグローバルに事業を展開している大手企業の純利益は膨らむだろう。企業の純利益が増えれば、そこから配当金の支払いを受けるグローバル株主が利を得る。さらに企業が純利益で自社株買いを増やすと、株価が上昇することで、やはりグローバル株主がもうかる。 労働規制の緩和は、多数派を占めるその国の労働者階級の反発を買う。さらに政府が財政拡大による雇用改善策に乗り出せば、失業率は下がる。すると、労働規制緩和の説得力が喪失してしまう。 フランスの労働規制緩和という構造改革を推進するためには、緊縮財政が不可欠なのだ。 フランスの事例からも、グローバリズムは規制緩和、自由貿易、そして緊縮財政が「トリニティ(三位一体)」となっていることが理解できる。もっとも、グローバリズムのトリニティを推進すると、国民の支持を失い、支持率が下がる。だからこそ、グローバリズムを推進する政治家の多くが「保守政治家」を装い、 「国家、国民のために尽くします! わが国を外国から守ります!」 と、ナショナリズム“もどき”を叫び、国民の支持をつなぎ留めつつ、グローバリズムにより国民の生活や豊かさを破壊しようとするわけだ。 現在の日本とフランスの政治状況は、気味が悪いほどに似ている。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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