だが、鋭いまくり脚は45歳の今も健在。7月静岡FI戦では(1)(3)(6)と優参も果たした。初日は予選スタートで11秒4の追い込み脚で快勝、準決も伊藤保文(京都)富永益生(愛知)の中近ラインで流れ込み「まだまだやれる」ところを見せている。
強豪揃いの65期生。吉岡稔真(福岡)に負けず先行を貫いたのは海田和裕。すんなり先行させると、吉岡もまくれない逃げ脚。平成5年大雨の立川日本選手権決勝で逃げ切って栄冠を手にした。
逃げイチだっただけに、後ろは伊藤公人(埼玉)と大竹慎吾(大分)のものすごい競りになった。大竹2着失格、伊藤5着失格、遠沢健二(神奈川)が3着から繰り上がった。
この年、海田はもちろんグランプリに出たが、滝沢正光(千葉)が優勝で海田はどん尻だった。力はあるがすんなり出ないとチャンスがつかめない欠点がある。平成8年の宇都宮全日本選抜はちょっと違った。
アトランタ五輪帰りの地元・神山雄一郎相手に海田は馬淵紀明(愛知)を使って3角番手まくり、2センターから神山も必死で追い込んでゴールは神山がVアピールをしたが、これは神山の早とちり。海田が1/8輪以上先に長い500バンクのゴールに入っていた。海田としては珍しい2段駆けだったが、いかに中部の連係がしっかりしているかを示した一戦だった。
平成8年のグランプリは、9番目に出場を決めた小橋正義(新潟)が3角インを入って抜け出し、必死に追走する神山を抑えた。海田は松本整(京都)のラフプレーに巻き込まれて落車してしまった。
今年、海田は引退した。中部の若手先行が育ち始めているだけに、番手のレースが出来ることを考えると、引退を惜しむ声も多い。
松岡彰洋(69期)はS級優勝(高松(2)(1)(1))までデビューから3年かかったが、69期の稲村成浩(群馬)沢田義和(兵庫)本田博(鹿児島)がハイタワー軍団と言われてもてはやされていたとき、170cmの松岡は黙々と練習、ジャン駆けはもちろん、2周先行しても粘る強靱な地脚を作った。
自転車に乗る前は陸上の選手で、鍛えた体と5100CCの肺活量が長い先行をしてもゴールまで粘れる原動力となっているのだろう。
37歳になった昨年あたりから、S2に落ちたりしているが、体調が整えばまだまだやれるはず。中部の機関車として、岐阜の山田裕仁や浜口高彰、山口幸二、富生を引っ張った足は必ず甦るはずだ。