蛮行の代償はあまりにも大きすぎた。
今回の騒動で亀田陣営に課せられ処罰は、協栄ジムの金平桂一郎会長にクラブオーナーライセンスの3カ月停止、亀田史郎トレーナーに無期限セコンドライセンス停止、次男の大毅に1年間のボクサーライセンス停止、長男の興毅には厳重戒告処分という非常に厳しいものだった。
WBC、WBA元世界ミニマム級王者で東日本ボクシング協会の大橋秀行会長は「予想以上に厳しい処分」と今回の裁定に驚きの表情を浮かべ、同情する姿勢すら見せた。
大橋会長は続けて「ボクサーとしては亀田3兄弟を買っている」と評価した上で「特に大毅は兄弟の中で一番劣っているが、常に前進していくスタイルを確立している。一年間みっちり精神的な部分を練習して出直してほしい」と大毅を含めた亀田家の更生を促した。
しかし、今回の処分で亀田家が更生の道を進んでいくのかといえば、そう簡単に事は運ばないようだ。長年に渡って亀田家の取材を続けているボクシング関係者は、重すぎる裁定と一家の分断によって「最悪、亀田兄弟の引退の可能性もなくはない」と危惧する。
前出の関係者は「亀田3兄弟は自身が世界王者になりたいという思いもあるが、それ以上に自分たちが王者になることで親父さんが優秀なトレーナーであることを証明したいという思いが強い」と父への思いがモチベーションにつながっていることを指摘する。
その上で「仮に名トレーナーと呼ばれる人の下で指導を受けて世界王者になったとしても、3兄弟にとって目的達成とはならない」と亀田親子の絆の強さを説いた。
また「そもそも外部の人間があの亀田スタイルを受け入れられるのかという問題もある」と眉をひそめる。親子の分断によるモチベーションの急低下、トレーナー不在という自体に追い込まれれば、引退のシナリオは十分にあり得るだろう。
親離れをして鍛え直せという意見が世間では大勢を占めているようだが、亀田家にとって親子関係が寸断されることは引退にまでつながってしまうほどの一大事のようだ。