猫といえば、カンボジア国籍を取得し、いったんは同国のロンドン五輪男子マラソン代表に選出されたものの、国際陸連の規定で出場が認められなかったのは周知の通り。
その後、6月17日、同国のプノンペンで開催された「プノンペン国際ハーフマラソン」に参加予定だったが、「39度の高熱が出たため」(本人談)、欠場した。これには、「同マラソンに出場したライバルのヘム・ブンティン選手との直接対決を回避するためでは?」として、仮病説も飛び交った。
「ちばアクアラインマラソン」は今年が初開催。木更津市の潮浜公園からスタートし、木更津市役所がゴール。コースに東京湾アクアラインが含まれているのが“売り”で、森田知事は「海の上を走るマラソンは他にない。来年以降もぜひともやりたい」とヤル気満々。
ランナーからの人気も上々で、参加料1万円がかかるにもかかわらず、定員1万5000人のところ、2万7310人の応募があった。
ところが、森田知事、ランナーの意気込みとはうらはらで、地元では同マラソンの開催に困惑しているというのだ。というのも、マラソンのため、アクアラインが午前8時〜午後2時まで、6時間も通行止めとなる。つまり、当日、東京、神奈川方面から房総に入ろうと思ったら、東京湾を大きく迂回しなければならない。
房総には鴨川シーワールド、マザー牧場などのレジャー施設やゴルフ場も多い。日帰りのバスツアーも少なくない。秋の行楽シーズンの日曜日といえば、観光業者にとっては書き入れ時。「そんな日に、アクアラインを6時間も通行止めにするとは、何事だ!」と、観光業者の総スカンを食っているというのだ。
観光業者のみならず、当日、房総方面から東京、神奈川方面に車で向かう人にとってはいい迷惑な話。そこで、浮上したのが海外からの招待選手としての猫の起用。猫は木更津からほど近い市原市の出身でもあり、ゲストには格好の存在。話題性の高い猫が出場すれば、同マラソン自体の注目度が高まり、PR役としては十分。マラソンが盛り上がれば、地元も文句をいいづらい雰囲気になる。森田知事は“猫効果”で、地元のバッシングを封印する腹づもりなのだろうか?
(落合一郎)