キャバクラ通いをしていない男性でも、「痩せているコよりは、ぽっちゃり系のほうが好き」という人は存在しますね。むろん、「ぽっちゃり」の度合いにもよるかと思いますが。マサルが通っていたのは、ポチャキャバではなく、普通のキャバクラでしたが、彼が指名していたのは、店一番のポッチャリキャバ嬢・ユカリ(仮名)でした。
ユカリは、痩せているキャバ嬢たちに比べると、指名の少ないキャバ嬢でした。やはり、なんだかんだで男性はスリムな女性を好むということなのでしょうか? なにはともあれ、指名の少ないユカリは、一人一人のお客様をとても大事にするキャバ嬢でした。よって、マサルと「客以上」の関係になるにも、そう時間はかかりませんでした。年齢が、同じ27歳同士ということもあってか、急速に二人は距離を縮めていきました。客とキャバ嬢が男女の関係になりますと、男性側が店には通わなくなることも珍しくないのですが、マサルはユカリと肉体関係を持ってからも、熱心に店に通い続けました。
というのも、ユカリには多額の借金があったからです。借金を返済するまでは、正式に付き合うことは出来ない、とマサルは告げられていました。マサルはその言葉どおり、借金返済が完了するまでは、ユカリを待つつもりでいました。
ところがある日、ユカリはマサルの前から姿を消してしまいました。いえ、マサルの前…というよりも、店にも何も言わず、いなくなってしまったのです。マサルは、緊急連絡先として聞いていたユカリの実家に電話をしました。実家にもユカリは帰っていないとのこと。そして、その電話でマサルは初めて、ユカリの借金の額面を知ります。なるほど、家族やマサルがどんなにユカリを想っていても、肩代わりすることが不可能なくらいの金額でした。
ユカリがいなくなってからのマサルは、心にぽっかりと穴が開いてしまったような、かといって家に一人でいるのも寂しくて、相変わらず同じキャバクラに通い続けました。特定の誰かを指名するのではなく、フリー客として。何人ものキャバ嬢が、マサルの隣に座りましたが、その中から特定の誰かを選ぶことはありませんでした。と思いきや、数週間後に入店してきた「ゆめ」(仮名)という新人キャバ嬢が、マサルの指名を受けることとなりました。「ゆめ」は、いなくなったユカリと、全く同じようなぽっちゃり体型をしていました。
もしかしたら、店側が敢えて、マサルのためにぽっちゃりキャバ嬢を入店させたのでしょうか? もし、貴方が通っているキャバクラが、ポチャキャバでないにもかかわらず、一人だけぽっちゃり女性が在籍していたとしたら、ぽっちゃり好きの男性客のニーズにあわせて置いているのかもしれません。(キャバクラ研究家 菊池美佳子)