現役通算142勝をマークした杉内俊哉(現巨人ファーム投手コーチ)に、昨シーズンでの引退を決断させた一要因でもある厄介な怪我を抱えるサファテ。思うように回復が進まないいら立ちからか、9日にはツイッター上で母国の女子サッカー選手に「アメリカが嫌なら出ていけ!」と暴言を吐き、その後謝罪に追い込まれてもいた。
守護神の“悲報”を受けてファンからは、「場所が場所だけにまだ時間はかかりそう」、「最悪このまま引退パターンもありそうで怖い」、「焦らずおとなしく治療に専念して」といった声が多数。ただ、中には「工藤監督がサファテを使いすぎたのが原因」、「後先考えずに使うからこうなるんだ」、「そもそもブルペン陣を酷使しすぎなんだよ」といった、工藤公康監督への批判も少なからず含まれている。
サファテは工藤監督が就任した2015年(65試合・リーグ3位)以降、2016年(64試合・リーグ2位)、2017年(66試合・リーグ2位)と3年連続でリーグトップクラスの登板数を記録。また、2017年の日本シリーズ第6戦では、回またぎで3イニングを投げる場面もあった。フル回転を続ける中で蓄積された勤続疲労が、翌年の怪我につながる原因となったことは想像に難くない。
事例がこの1つだけなら、サファテ個人の問題ともいえるかもしれない。しかし、工藤政権下では他にも、岩崎翔(2017年・72試合・リーグ1位)、加治屋蓮(2018年・72試合・リーグ1位)といった選手がサファテと同じく登板過多の末に故障している。
また、今シーズンも嘉弥真新也(2018年・67試合・リーグ4位)、森唯斗(2017年・64試合・リーグ4位タイ/2018年・66試合・リーグ5位)といった面々が戦線離脱を経験。これだけ“被害者”が続出していることを考えると、ファンがその原因を酷使に求めるのも致し方ないところだろう。
リーグ優勝2回、日本一3回を達成する一方で、ブルペン陣の“自転車操業”を続ける工藤監督。政権交代が起こらない限り、その被害者は今後も続出するのかもしれない。
文 / 柴田雅人