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西田隆維のマラソン見聞録 第5話「スポーツ選手活用体力向上事業〜その2」

 前回、岩手県岩泉町の小川中学校で行った陸上教室のことをお話ししたが、もう少し補足しておきたいと思う。小川中学校に行ってから約2週間経過した訳だが、今となってその時の状況を俯瞰して見られることもある。

 スポーツに関心を持ってくれたか、マラソンに対する意識に良い意味での変化があったか…挙げればきりが無いが、本当に生徒たちにとって有意義な授業となっただろうか──とふり返る。『陸上教室』と冠を付けられて、それに参加させられる。となると生徒たちにしてみれば、どうしても“やらされている”感は否めない。全校生徒が参加するのだから最初から“マラソンに興味あります”という生徒の方が圧倒的に少ないだろう。しかし私は“やらされている”と思われていても全然構わない。なぜなら私もマラソンを始めた頃はそう思っていたからだ。

 練習嫌いで「何でこんな辛い思いをしなければならないのか」、「またこんなに走らされる」…などネガティブなことばかり浮かんで、体力的・メンタル的にも落ち込んでいた時があった。でもそういう時こそがチャンス。辛さや苦しみを克服するために自問自答したり一喜一憂したりする。そうして気が付けば前進しているのだ。大事なのは自分で考えること。うまく行き過ぎては、きっと何も考えないだろう。今回の陸上教室は特に良い経験をさせてもらった。私は常日頃から「うわべだけのよくあるランナー講師にはなりたくない、自分の信念を伝えていけるようになりたい」と思っている。生徒たちとふれあいながら、そのことを改めて認識させられた教室となった。

 そんな小川中学校での出来事を思いつつ、実は先週から舞台『MOTHER〜特攻の母 鳥濱トメ物語〜』の稽古に励んでいる。この舞台は文字通り、特攻に出撃する若者を母親のように見送ることしかできなかった軍指定食堂の経営者・鳥濱トメのせつない物語。
 現在私たちの平均寿命は約80歳。60年前は50歳と言われていた時代の中で、特攻隊の平均年齢は20歳前後。命令が下れば若い青年が爆弾を抱えて敵に突っ込まなければならない。何のために突っ込むのか。それぞれ理由があったと思う。家族のため、日本の未来のため…。今の時代に生まれたことに感謝できているだろうか? 幸せは自らの心の中で育むもの。
 この舞台をきっかけに様々なことを考え勉強した。是非多くの方に観ていただきたい。平穏な暮らしの中で私たちが忘れかけている何かをきっと感じ取ることができると思う。

<プロフィール>
西田隆維【にしだ たかゆき】1977年4月26日生 180センチ 60.5キロ
陸上長距離選手として駒澤大→エスビー食品→JALグランドサービスで活躍。駒大時代は4年連続「箱根駅伝」に出場、4年時の00年には9区で区間新を樹立。駒大初優勝に大きく貢献する。01年、別府大分毎日マラソンで優勝、同年開催された『エドモントン世界陸上』日本代表に選出される(結果は9位)。09年2月、現役を引退、俳優に転向する。

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