3年目の20歳の若者は、開幕が見えない状況に「モチベーションを保つのは難しい」と、素直な心境も吐露したが、「昨年一年間投げさせていただいて、後半スタミナ不足を感じた」と、イースタンリーグで規定投球回数を投げたからこその課題を見つけた。今は「下半身の強化」で課題を克服する時間に充てると共に、「ケガをしないこと」も大切にしていると明かす。「立場的にもケガをしてしまったら一軍に上がるチャンスが無くなってしまうので、身体作りも大事ですが、ケアの部分も大切にしています」と、冷静に自分と向き合っている。
寮生は外出禁止が続いているが、「映画鑑賞やゲーム」でリラックスする時間を作る。また、昨年アメリカにあるトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」に訪れた際に「自分の英語能力が低いと痛感したので、スキルアップの為に通訳の方に教わったり、教材を購入して勉強を始めました」と、空いた時間を自分磨きに利用。意識の高さも垣間見えた。
3月下旬に行われていたファームでの練習試合でも、最速150キロ越えで、ほとんどが140キロ中盤から後半のストレートを軸に、フォーク、カットボール、スライダーを操る若さ溢れるピッチングを披露していた。その際も、「アウトに取るのが仕事ですが」と前置きした上で、「強い球をしっかりと投げて、まっすぐで押していく」ことと、「悪い時といい時の差をなくす」ことをテーマにし、実際に結果も出していた。
昨年7月に育成から支配下登録を勝ち取り、同28日には一軍デビューも果たした中川虎大。ファームでは11勝、防御率2.25と2つのタイトルも手中に収めた期待の若手右腕は、自主練習期間をうまく利用して、去年果たせなかった一軍初勝利と、一軍定着に向けてステップアップして行く構えだ。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘