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『万年前座』から見た立川談志…落語家立川キウイに独占インタビュー後編

 −−16年半の前座生活で一番辛かった、または苦労された点は?
 「一番というか…全部だね。とにかく打つ手がない。自分の中でただただ時間だけが流れていく…。だって打つ手があるなら打つじゃない? 何をどうしていいかわからない。その精神的な怖さだよね。それは今思うとすごく怖い。一応、師匠の出した課題で唄、踊り、落語ってのはあるけど、ただやりゃあいいってもんじゃない。どれだけ師匠の感覚に近づけるか? どれだけ師匠にハマれるか? っていう感覚的なものなのよね。そこをどうフィットさせるのが自分にはなかなか厳しかった」

 −−談志師匠からは「こども真打」という事での真打昇進らしいですが「こども真打」って何でしょうか?
 「なぜかわからないけど、僕は小学校とかでやる学校寄席では受けるらしいんです。だからこども店長ならぬ『こども真打』!(笑)」

 −−ブログ(立川キウイの小部屋)の更新量も凄いですよね。やはり何か信念みたいなものが?
 「信念なんてものはない(笑)ただ本にも書いたけど、入門当初に師匠に言われたの。『毎日、日記を書け。むしろ書けない奴はダメだ』ってつまりは書くも喋るも言葉を司るものっていう意味では同じじゃない? それはいまだに守っている。だから『万年前座』が新潮社から出た時は嬉しいというか大きいものがあったよね。僕、太宰治のファンなの。ほら『万年前座』って『人間失格』と似てる…でしょ? 語呂も違うし、4文字ってことしか共通点ないけど(笑)」

 −−(笑)そんなキウイさんですが『万年前座』を出版した記念の落語会が7月7日に文京区のシビックホールで行われますね。えっと…出演者は…?
 「え〜。志らく兄さん。談四楼師匠。家元、そしてボクでーす! 調べとけ〜(笑)」

 −−はい! 失礼いたしました(笑)で、僕も含めて談志ファンが一番気になっているのは「談志は落語を喋るのか?」って所なのですが、それについては?
 「お楽しみって事で! いや、これに関してはホント僕もわかりませんから(笑)」

 立川キウイは「風とマンダラ」のキャラクターそのままに愉快で楽しい語り口でインタビューに答えてくれた。ただ、漫画のイメージよりも真面目で自分の事にやや覚めた感じをうけた。でも、どこかフワフワしているというなんとも不思議なキャラクターだった。
 インタビュー後、筆者は「立川キウイ独演会」にもお邪魔させていただいた。
演目はネットや2ちゃんねる等のネタを織り込んだ「粗忽長屋」。エコロジーな「時そば」、「強情灸」の改作で、高座で激辛ラーメンを食べる「強情麺」等、一風変わったものばかりであった。
 人間にしても経歴にしてもネタにしても他の落語家とは違う個性を持つ立川キウイ。
 彼の芸の果実はどんどん熟れていくことだろう。
 皆さまも立川キウイを味わってみてはいかがでしょうか?

(6月25日上野広小路亭 楽屋にてインタビュー)

「『万年前座』出版記念落語会」

日時 7月7日(水) 7時開演《777!》 ※6時半開場
会場 文京シビックホール 小ホール  
出演 立川談志 立川談四楼 立川志らく 立川キウイ  
木戸銭 ¥3500円(前売り当日共)  
お問い合わせ:倉庫の二階 souko-no-nikai@docomo.ne.jp

公式サイト「立川キウイの小屋」
http://www.geocities.jp/tatekawakiwi/

(「昭和ロマン探求家」穂積昭雪 山口敏太郎事務所)

【参照】山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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