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三谷幸喜『古畑任三郎』シリーズは、人気ドラマでの苦い経験を乗り越えて生まれた?

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三谷幸喜

 三谷幸喜監督の映画『記憶にございません!』が22日、動員260万人、興行収入33億円を突破したと報じられた。本作は、記憶喪失になった中井貴一演じる総理大臣が巻き起こす騒動を描いたオリジナルコメディー。2019年邦画実写No.1も狙えると評判のヒット作となった。

 三谷幸喜の代表作といえば、90年代から2000年代にかけてのフジテレビの大ヒットドラマ『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系)だろう。田村正和演じる古畑任三郎が、巧みな話術と推理力でゲストが演じる犯人を追い詰めて行くストーリーである。最初に事件が起こり、最後に古畑が犯人を追い詰めていくストーリーは和製『刑事コロンボ』とも言われた。任三郎なる変わった名前は、『笑っていいとも!』(同)でタモリが「時任/三郎」を「時/任三郎」と変に読んでいたことで思いついたアイデアだ。

 犯人役を演じた出演者は、SMAP、イチロー、明石家さんま、松本幸四郎と豪華なメンツが並ぶ。だが、この名作ドラマの誕生のきっかけとなる別のドラマがあったことはあまり知られていない。それが1993年に放送された『振り返れば奴がいる』(同)である。病院内で正義に燃える熱血漢の石川(石黒賢)と、腕は確かながら冷酷な司馬(織田裕二)が医師同士激しく対立するストーリーである。医療ミス、安楽死、収賄といったシリアスなテーマを扱うドラマであったが、脚本を担当していたのは意外にも三谷幸喜であった。

 三谷は喜劇を得意とするため、脚本についそうしたシーンを書き込んでしまい、撮影時にはカットされていたという。ドラマで入院患者のユーモラスなキャラクターが立っているのはそのためだろう。さらに、石川に好意を寄せる新人研修医である峰(松下由樹)の無能ドタバタぶりも喜劇だ。

 コメディシーンのカットに加えて、現場ではどんどん内容が書き換えられて行く。ドラマの最後において司馬は同僚医師だった平賀(西村雅彦、現・まさ彦)に刺されてしまうが、このシーンも「こんな悪い役が生き残っていいの」という現場での織田の一言から生まれたものである。

 三谷としては不本意な作品であったものの、この作品は話題となり、三谷の知名度を上げる。そこで、次なる作品として、かねてから構想を温めていた「コロンボのような倒叙ミステリー」である『古畑任三郎』の脚本に着手することができたようだ。もし前作がコケていたら、名作シリーズは生まれなかったかもしれない。

 通常、ミステリードラマは最後に犯人が判明するパターンが王道だ。だが、『古畑任三郎』の場合、最初に犯行シーンが登場する。視聴者は犯人を把握したまま、古畑に追い詰められていく犯人の姿を見て行く。混み入った構成を必要とするため、三谷としても力を入れて執筆したのだろう。結果、ドラマは10年以上続く大ヒットシリーズとなった。

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