今回は、そんな膨大な情報の中に埋もれてしまったUMAの事例を報告しよう。
報道があったのは1976年11月18日、日本では毎日新聞に掲載されたもの。記事では、ほんの数行ながら異様な姿のUMAの『捕獲』を伝えている。
いわく、「翼と角と象のように長い鼻で体長約90センチの『有史以前の怪獣』が東カリマンタンのジャングルで捕獲。山羊のような足に猛鳥のような足のツメ、虎のような胴体で額はツルリ人間のよう」
『有史以前の怪獣』というフレーズもゴジラなどの怪獣映画さながらの煽り文句で驚くが、これほど異様な外見的特徴を備えたUMA捕獲例が、ベタ記事とはいえ一度は全国紙に載ったにも関わらず、以降は全く噂も何も聞かなくなってしまった事にも驚かされる。
文章の記述を信じるならば、中生代に棲息していた翼竜が今も生きていた、という内容になるのだろう。これと似たUMAの報告例は幾つか報告されており、有名な所ではパプアニューギニアに棲息し、外見的特徴からランフォリンクスかディモルフォドンに似ているとされる『ローペン』、アフリカに棲息する『コンガマトー』や『オリテアオ』(両者を同一個体とする説もある)、神出鬼没で目撃した人は呼吸困難になるという『ジーナ・フォイロ』などだ。
見た目だけなら他のUMAにもひけをとらないこのカリマンタン島の怪獣が、なぜ埋没してしまったのか。それはやはりUMAにありがちな一種独特の名前やそれと解るイメージ図がなかったことだろう。今ではDNA鑑定もなされ、ほぼウバザメの死骸だったことが確定しているニューネッシーも、あの写真とイギリスのネッシーを想起させる名前で「謎の怪獣の死体が網にかかった!?」として世界中に広まってしまったのだから。
このUMAの詳細情報や続報は残念ながら、今のところ収集できていない。果たして、この生き物は何だったのか。翼竜か、皮膚病で毛の抜け落ちたオオコウモリか何かだったのか…真相は、闇の中である。
(山口敏太郎事務所)