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全日本 武藤が三沢へ悲壮な誓い

 全日本プロレスの武藤敬司社長は15日、都内の同事務所で緊急会見。13日に急逝したプロレスリング・ノアの三沢光晴社長に追悼コメントを捧げた。ついに実現することなく幻に終わったシングル対決に悔しさをかみ締めながら、決意も新たにプロレス界の発展へ一致団結していくことを誓った。

 天才はやり切れない気持ちでいっぱいになっていた。
 この日、都内の事務所で報道陣の取材に応じた武藤。13日の夜に会社や関係者から連絡を受け、訃報を知った。「全然(頭の中で)理解出来ないですね。オレ以上のキャリアはあるし、バックドロップも数多く受けて、何でそのバックドロップでダメだったのか」と信じられない様子。
 さらに「夢の戦いどうするんだって。一騎打ちどうするんだって」と悔しさをにじませた。
 三沢さんとの初遭遇はデビュー20年目を迎えた2004年。ノアの7月の東京ドーム大会のGHCタッグ王座戦で初対戦し、10月の全日プロ両国大会では、タッグを結成した。「いつかはシングルを」との願いは叶わなくなってしまった。
 やり切れない思いは募るばかりで「本当は腹わって酒飲んで未来を語ったり、愚痴言ったりしたかったですね」と本音をこぼす場面も見られた。

 三沢さんと武藤といえば、全日本の四天王、新日本の闘魂三銃士としてトップを張り続け、比較もされてきた。その後、三沢さんはノアを旗揚げ。武藤は全日プロに移籍し、共に団体の顔として君臨している。
 それだけに「これからプロレス界をどう引っ張っていくかの道しるべが無い中で、オレも模索しながら、三沢社長も模索しながら。そういう部分では、本当にライバルを超えた同士的な(存在)」と意識している部分もあった。
 ただ、このまま悲しんでばかりもいられない。「かといってオレも立ち止まるわけにはいかない」と、前を向き「ケガのことだけじゃなく、興行の部分であったりみんなでまとまる形ができれば。そういう形で頑張ったほうが気持ちも楽になると思う」と協調路線を主張。追悼興行が開催された場合には「主旨がどういうものかわかったら」と語った。プロレス界を発展させるため。武藤は歩みを止めることをやめない。

 三沢さんの死は以外なところにも影響が出ている。
 ノアは大手コンビニエンスストア「ローソン」とのコラボレーション企画でポイントカードを導入していた。これはポイントに応じ、好きな商品がもらえるというもので、3月1日〜5月31日までの期間「好きな選手のサイン入り写真パネル」をプレゼントしていた。
 だが、三沢さんが事故で亡くなったことによりサインを入れることが不可能となってしまった。そのため「三沢選手のパネルを選ばれた方には、変更してもらうことになりました」(同社広報部)という。
 「プロレスファンの皆様からは人気がすごく高かっただけに残念です」(同)
 サイン入り写真パネルを心待ちにしていたファンにとってはダブルショックとなってしまった。

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