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ネイティブアメリカンに伝わっていたドラゴン「ピアサ」

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画像はイメージです。

 発見されて歴史が浅い新大陸には、つい近年まで本当に伝説上の存在としか思えないような造形の生物が生息していたという話が残されている事がある。

 北米大陸を流れるミシシッピ川沿いには、奇妙な姿のドラゴンの伝説が残っている。ネイティブアメリカンのイリノイ族に伝わるピアサだ。なお、ネイティブアメリカンの発音に近づけるとパイア・ソーまたはピー・ア・ソーが近いという。

 ピアサは人に似た顔で、頭部に鹿のような角があるという。鳥に似た4本の脚を持ち、背中には大きな翼が生えているが、体と脚は鱗で覆われているという。長い尾を持ち、体は赤、黒、緑の三色に彩られているとのことで、西洋のドラゴンと東洋の龍の特徴を掛け合わせたような外見となっている。

 言い伝えによれば、ピアサは肉食ではあったが人間を襲うことはない温厚な怪物だったという。しかし、ネイティブアメリカンの部族同士で争いが起き、この時に戦いで亡くなった人の死体を食べてしまった事からピアサは人の味を覚えてしまい、人々を襲う怪物となってしまったのだという。後にピアサはイリノイ族の英雄らに倒されるのだが、ピアサにまつわる伝説は部族間戦争や自然の寓意を形にしたものではないかとされている。

 ピアサの伝説は1673年、イエズス会のジャック・マルケット神父によってもたらされた。彼はネイティブアメリカンらとミシシッピ川を遡っていたところ、川岸の高い崖に彫られたピアサの岩絵を発見。ネイティブアメリカンがピアサの伝承を紹介したことから広く知られるようになった。だが、残念ながらこの岩絵は19世紀に崖の側で行われた石切り作業の際に崩落して消えてしまったという。

 現在、イリノイ州アルトンにはこのドラゴン伝説にちなんだ公園ピアサパークが存在しており、ピアサの壁画も再現されている。

文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所

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