新外国人選手のウラディミール・バレンティンが打率3割9分1厘(リーグ1位)、畠山和洋が中軸を託せるまでに成長。畠山は昨季、規定打席には達していないが、打率3割を残している。『シーズン200本安打2回』の青木はともかく、今季41歳を迎える宮本慎也が打率3割1分9厘と爆発するとは、誰も予想できなかった。しかも、得点圏打率は5割2分2厘! チーム打率2割7分3厘の成績は突出して高い数値ではないが(1位)、成長株の川端慎吾(23)も3割を打っており、ヤクルト勢はセ・リーグ打率ベスト10のなかで5人がランクインしている。
投打ともに順調、この調子が長く続く保証は何処にもないが、急に悪くなる要素も見当たらない。暫くは首位戦線を順調に戦えるだろう。
強いて不安要素を挙げるとすれば、相川に継ぐ『控え捕手』だろうか。今季、相川以外で一軍の試合に出た捕手は川本良平、中村悠平の2人。相川が元気にプレーしている今は問題がないが、小川監督は「捕手2人体制」で臨んでいる(5月18日時点)。通常、3人体制で臨むチームが多く、試合中にアクシデントが起きた場合、ディフェンス陣にも影響が及ぶのは必至だ。
相川亮二は今季35歳。現二番手捕手の川本、昨季二軍で85試合に出場した21歳の中村が期待されているが、ヤクルトは古田敦也、野口寿浩以降、生え抜きの好捕手が育っていない。シーズン中の緊急トレードが行われるとすれば、相川に何か遭ったときだろう。もっとも、ヤクルトはトレードに積極的なチームではない。「有事の際は川本」ということだろうか。せめて、相川が元気なうちに、試合終盤の1イニングだけでもいいから、川本、中村に実戦経験を積ませておくべきである。
小川監督はポケットマネーから『監督賞』を渡すなどし、選手を鼓舞している。金額の多さではなく、こういう気配りがチームを動かしているのだろう。
新人が一軍登録されていない(同時点)。5位の久古健太郎が7試合5イニングを投げただけだ。ドライチの山田哲人は「将来性」としても、26歳の七條祐樹が二軍暮らしなのは寂しい。夏場以降、どの球団も救援投手の頭数が足らなくなる。七條は「セットアッパーもできる」とも聞く。七條、久古がシーズン中盤以降も一軍で投げられないとなると、首位戦線は様相が違ってくるのではないだろうか。(一部敬称略/スポーツライター・飯山満)