「マスコミへの対応は予定しておりますので、詳しいことはまた後日…」
中日職員はマスコミ各社にそう返答している。何の返答かと言うと、「残り3試合」を全勝し、その間の2位・阪神と3位・巨人の勝敗次第では、再び中日にマジックが点灯する。中日がマジック点灯に成功した場合、最短優勝日は、28日。阪神と巨人が直接対決の行方次第で優勝が決まるというわけだ。
中日は試合のない28日に優勝が決まった場合、どうするのか? 各メディアにそのことを問われていた。フロントの発表によれば、監督以下選手はナゴヤドームに待機させるが、「営業(イベント)は一切行わない」と言う。つまり、中日は無人の球場で形式だけの胴上げをすることになる。クライマックスシリーズが導入された以上、ペナントレースの優勝チームが確実に日本シリーズへ進出できる保証はない。球団は28日に優勝が決まった場合、「マスコミ対応はする」としているが、06年以来のペナント制覇が“無人球場”とは、あまりにも寂しすぎる。
「中日球団の発表では、優勝を左右する阪神対巨人戦をナゴヤドームで放送するイベントも検討されたようですが、放映権の問題もあって見送ることになりました」(メディア陣の1人)
また、阪神は9月30日までの4試合を甲子園で行うが、10月1日以降の6試合はビジターゲームとなる。残り試合数がもっとも多い阪神が「やや有利」だが、首位・中日の勝率を見る限り、9月に優勝を決めることはできないだろう。従って、10月に阪神戦を行うマツダスタジアム(広島)、神宮(ヤクルト)、横浜の3球団が潤う図式になってしまった。
「横浜は『3年連続最下位』が決まるのは時間の問題。そうなると、横浜は来季に向け、若手投手をテストしてきます。阪神、巨人はともに横浜戦を3試合ずつ残しているので、中日は面白くないでしょうね」(プロ野球解説者の1人)
かつては巨人も、優勝決定の瞬間を“身内の日本テレビ”が放送を見送る異例の事態にあった。
「昨季の今頃は優勝チームが決まっていました。可能性のあるチームも祝勝イベントはやりたいはず。でも、準備ができないんです。準備をして優勝を逃したら、その赤字を被ることになります」(関係者)
130試合強を消化して優勝チームが決まらない混戦ぶりは、球場観客数を増やすかもしれない。プロ野球放送の人気低迷を嘆くのは簡単だが、ペナントレースの優勝を軽視する傾向に歯止めを掛けなければ、経営難は打開できないだろう。