その一方、未確認生物(UMA)については「幻の鳥ドードー発見?」「ジョニー・デップのチュパカブラ騒動」なる海外ニュースはあったもののUFOに比べると日本の未確認生物業界はやや大人しめである。
業界では新種の生物こそ多数発見されているものの、UFOのように政界を揺るがすような情報は近年出てきておらず少々さびしいのが実感だ。
しかし今から200年ほど前、一国の王が目撃証言を発表したことで社会問題へと発展した未確認生物騒動が存在したという。
それが米国ジャージー州での目撃証言が相次ぐ怪物「ジャージー・デビル」である。
写真がジャージーデビルのイラストなのだが、馬に似た長い頭部、細い体に手足、背中から生えた悪魔のような羽はアンバランス極まりなく、まさに悪い夢に出てくる怪物の姿そのものである。
ジャージー・デビルの目撃例は古くから存在し1700年代から情報があるが、もっとも湯名なのが、1820年における元スペインの国王ジョセフ・ボナパルトの証言だろう。ジョセフ・ボナパルトは生前、「ジャージー・デビル」の姿をニュージャージーで目撃したと語っている。国の王が「未確認生物を見た」という例は(神話時代はともかく)近代ではかなり珍しい例ではなかろうか。ジョセフ・ボナパルトの目撃以降、ニュージャージー州には多数のジャージー・デビルの目撃証言が相次いでおり、最近では2007年にも証言が発表されている。
ジャージー・デビルは出生の不気味さでも人気を集めている未確認生物である。
誕生談は2種類あり、ひとつは数人で魔術遊びをしていたグループのメンバーの連れてきた赤ちゃんが悪魔に体を乗っ取られジャージー・デビルに変身してしまった話、もうひとつは子だくさんの母親が13番目に産んだ子供がジャージーデビルへと変身してしまった話である。どれも子供が怪物に変身するという筋立てであるが、元が人間だったという点に変わりはなく未確認生物というよりも悪魔話に近い印象を受ける。
果たしてジャージーデビルの正体は本物の悪魔なのか? それとも本当に存在する生物なのか? 伝説の究明が待たれるところだ。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)