−−旗揚げ戦まで1週間を切りましたが、現在の心境は?
「いい緊張感ですよ。道場では自分も教えてるし、選手には崩して、わかりやすく伝えてる。崩してっていうのは、たとえば言葉1つでわかるところを、3つ4つのワードをくっつけて伝えたり。それでもわかってないようだったら、実践。動きで伝えてる」
−−長与さんは選手としては20年以上の実績がありますが、女子プロ団体の社長に就任するのは、今回が初めて。
「マーケティングシェアが広い分野ではないので、大変だし、今も勉強させてもらってるところ。クラッシュ(・ギャルズ)をやってた80年代、バブルの時期と一転して、プロレスや格闘技では儲からないという時代だと思うのでね。こういう例えをするとわかりやすいけど、今はネットの普及によって、無店舗型になっていて、店に行かなくてもショッピングができるし、観たいものも観られるようになっちゃった。プロレスも、無店舗型でやってる組織が多くて、自分で自分を出店する形になってる。道場、リングを持たなくても可能で、すごく便利な世の中になったんだけども、自分はそれを会社として、ソフト(選手)を生みだすファクトリーをそろえたんですね。道場もある、リングもある、寮もある。これらを興行で補うには、とても割が合わない。プロレスの動員数というのは、低いわけですから。じゃあ、どこをどうやって開拓していくの? 勝算はどこにあるの? と」
−−どこにあるんでしょう。
「2つあって。1つめは、プロレスという芸術、作品であれということ。有店舗型で運営している劇団四季さんのようなね、素人の方が観ても共感できるような、劇的なプロレスを見せる。ということは、そこにドラマ性がないといけない。選手一人ひとりの個性を浮き彫りにしないといけないので、そのソフトの開発をまずはする。あともう1つは、旗揚げをして、その後の地方巡業でお披露目したあとは、動員があろうがなかろうが、ある場所で、週に1回、必ず観られるという習慣をつけようと。場所は、東京。テレビ局や雑誌・新聞社、いろんな企業が集まっているから、マーケティングの市場はやっぱり、東京なんですよ。たとえば大阪の芸人さんなんて、夜行バスで往復してでも、東京に来て舞台に立っているわけですよ。AKB48だってね、原点は東京の秋葉原。アキバのドンキ(ホーテ)の上の小さな劇場からスタートして、お客さんが入ろうが入るまいが、必ず公演をしていたわけでしょ。“会いに行けるレスラーたち”。それを目指そうかなって。詳しいことは5月3日に発表します」
−−今後、目指すべくものを聞かせてください。
「“継続は力なり”といわれるけれど、継続は命取り。ようするに、プロレスという飛び出し物には古き伝統があるけれども、時代に100%沿っているかといえば、そうではないので、やればやるほど大変な状況になるということも、頭の中に入れておかないといけない。であれば、その労力を一点集中にして、“待っててください、必ず大きくなりますね”と言える環境を、まずは作ります。異端児な団体になると思うけど、初めて観る人に“ここのドラマはおもしろい、この続きが観たい”と思われるように」
−−ライバルは?
「劇団四季さん。選手や団体じゃなくて、ここを目標にしたいよね。今初めて勝手に言っちゃったから、怒られるかもしれないけど(笑)」
●Marvelous旗揚げイベント
日時:5月3日(火・祝)
場所:東京・豊洲PIT(開場16時、開始17時)
彩羽匠vs里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)ほか 全6試合オールシングルマッチ。問い合わせはマーベルカンパニー(TEL047-406-5991)まで。