差し替えられた企画は2つ。そのうち波紋を呼んでいるのは、「数珠つなぎ企画で1番過酷なのジョジョの鉄塔システム説」だ。お笑い芸人の1人を横浜にある倉庫に閉じ込め、身代わりとなる芸人を電話で呼び出さなければ脱出できない、という残酷なもの。
今年5月に行われたロケの際、不審に感じた一般人が通報して警察沙汰にもなったとも報道された。実際に呼び出された芸人の中には、「全然面白くねぇんだよ!」と本気で憤慨している者もおり、ネット上では“度が過ぎるのでは?”と、企画が倫理性を保っているか懐疑的な考えを示す視聴者の声も多かった。
また、20日放送の同番組には、くしくも16日にインターネット番組『直撃!週刊文春ライブ』で“半同棲疑惑”がスクープされたばかりの中井も登場。「第10回AKB48世界選抜総選挙」のスピーチで謝罪こそしているが、その奔放な発言はとどまることを知らない。
番組内のトークでも、マネージャーに八つ当たりすることがあるか尋ねられると、「ときどきキレます…」と返答。ネット上では、「日に日にあなたの株下がってます」「今自分の置かれた状況をよく見なさい」「テレビに出る資格がない」などと厳しい声が寄せられたが、このタイミングで中井がゲスト出演するというのも何か“持っている”気がしてならない。
同番組は、過去にもたくさんの問題を起こしている。2年前には「水戸なら今でも印籠の効果あるんじゃないか説」を放送してBPO(放送倫理・番組向上機構)の審議入り。水戸駅周辺で路上喫煙していた若者に、黄門様役の老人が印籠を向けたところ、「コラ、じじぃ」「黙れコノヤロー!」などと若者が罵声を浴びせた映像は、確かに刺激の強いものだった。
その後も「偉人の子孫 教科書で自分の先祖に落書きしない説」では、石川啄木の「ひ孫」と紹介された人物が、「遠縁」ではあるものの「子孫」や「ひ孫」ではなかったとして番組側が謝罪。また、昨年9月には、番組スタッフが「児童買春・ポルノ禁止法違反」の疑いで逮捕されるなど、マイナスイメージもぬぐえない。
一方で同番組は、日本の放送文化の質的な向上に貢献した番組・個人・団体に贈られるギャラクシー賞の“月間賞”を2度も受賞している。2015年の「徳川慶喜を生で見た事がある人 まだギリこの世にいる説」、2017年の「先生のモノマネ プロがやったら死ぬほど子供にウケる説」は、どちらも教養とエンタメの要素を高い水準で兼ね備えた企画。ギャラクシー賞を選評している放送批評懇談会からは、「『子供の頃、村に1人はチョンマゲの人がいた』という話は光景が目に浮かび、顔がほころんだ」「モノマネ芸の原点を見る思いがした」などと称賛された。
同番組のプロデューサー・藤井健太郎氏は『NewsWalker』のインタビューの中で、自身が“攻めの姿勢”をとっているつもりはないとしながらも、「作り手の好きなものや作りたいものは絶対に必要。順番としては、好きなものを作っていく中で世間との折り合いをつける、というのがいい」と語っている。視聴者の存在はもちろん大切だが、まずは制作側が“面白い”と感じる企画を自粛せずに作る、というスタイルがあるからこそ独自の世界をキープできているのだろう。
「もともと『水曜日のダウンタウン』は、ニッチな“検証番組”としてスタートしています。最初こそ視聴率が悪いと不安な声も上がっていましたが、刺激的な内容が徐々に人気を博して今やTBSの“カナメ”とも言える番組です。回を重ねるごとに“もっと面白くしよう”と努力する番組スタッフの姿勢は、今のテレビ業界にあって本当に貴重ですし、それは視聴者からも求められています。だからこそ、プラスに向かえばたくさんの支持を集めますが、マイナスに転じれば大炎上します。それだけ注目度が高いということでしょう」(芸能ライター)
どんなジャンルでも視聴者からの全ての意見を反映することは難しい。今後も特別な番組として存続し、改めてギャラクシー賞を獲得するような番組作りに期待したい。