レースはエムオーウイナーが後続を2馬身ほど離して快調に飛ばしていく。前半3F通過は33秒7。最終週の馬場を考慮しても、メンバー構成からすれば、先行勢は息の入る流れ。前が残ってもおかしくない展開だった。
そんな不向きな流れを後方3番手から見事に差し切ったのだから、この日のプレミアムボックスの勝利はケチのつけようがない。実際、ラストはレースの上がり(3F34秒3)を1秒1上回るメンバー最速の33秒1を計時した。
「馬に落ち着きがあって、一発ありそうな雰囲気でした。ためればいい脚を使えると思っていましたが、それにしても、終いは切れましたね。この距離ならGIでも楽しみ」と鮫島騎手。
ただ、期待を膨らませる鞍上の談話をうのみにできない部分もある。今回、そしてオーシャンSの勝ち時計はともに1分8秒台。頑張っても1分7秒台後半が精いっぱいの同馬は、常に馬場コンディションに左右される弱点がつきまとうからだ。成績にムラがあるのもそのせいだろう。
もっとも、それを見越して(?)最終週のここに照準を合わせてきた陣営の“戦術眼”はアッパレのひと言だ。規定路線でいけば、秋の最大目標はGI・スプリンターズS。そこで頂点を狙えるか否かは、その日の馬場状態が大きなカギを握っているといえそうだ。