最初に断っておくが、これはオカルトでも都市伝説でもパチモンでもない。正真正銘、純度100%の「恐竜のミイラ」化石を展示している。
重要文化財並みの大きなガラスケースで囲われているからその貴重さが分かろうというもの。顔をケースにくっ付けてのぞき込むと、幼少時代に「恐竜図鑑」をベロベロになるまで読みこんだ身体に電流が走った。皮膚やうろこが鮮明に残っているではないか。
同博の広報事務局担当者は「北米ノースダコタ州に広がる採掘地『バッドランド』の“掘り出し物”で、草食恐竜ハドロサウルス類の仲間の化石です。日本で初めての公開ですし、恐竜ヲタクも泣いて喜ぶ目玉展示といえます」と自信たっぷりに解説する。
そもそも恐竜のミイラ化石は全世界でも過去に数点しか発見されていない。それが奇跡ともいえる超良好な保存状態で見つかったため、この化石には発掘地名から「ダコタ」の愛称がつけられ、研究者の関心を集めているという。
ケース内に視線を戻すと、体表を覆う大小のうろこが生々しい。ネコの肉球にあたる部分から足指が伸びており、肉球のまた大きいこと! まるで野球のグローブのようだ。乱暴に例えれば、後期白亜紀(およそ9000万年〜6500万年前)に生息した体長約8メートルの巨大トカゲ。2000年に16歳の少年が発見したといい、皮膚や筋肉などの軟組織も化石化して残っているという。
もうひとつの目玉は、全長35メートルとド迫力の「ジャイアント・マメンキサウルス」の骨格標本だ。後期ジュラ紀(1億6000万年〜1億5000万年以上前)の草食恐竜で、中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区のジュンガル盆地で発掘された。この骨格が掘り出されるまでは全長約20メートル前後とみられていたが、全長約33メートルのスーパーサウルスを一気に抜き去り、ジャンボ恐竜ナンバーワンの座に就いた。
その骨格は会場いっぱいに展示され、カメラのフレームに収まりきらないほど。しかし、そばに記念撮影サービスコーナーがあり、抽選でジャイアント・マメンキサウルスを背景に写真を撮ってプレゼントしてくれるという。係のお姉さんが「一緒に笑顔で『マメンキ!』で撮影します。はい、マメンキ!」とパチリ。親子恐竜のぬいぐるみを貸してくれるので、両脇に抱えてポーズを決めよう。
今回で3回目となる同博は「パワーアップしないと気が済まない」(主催者側)というどん欲な姿勢から、全身骨格45体、総出展標本260点という過去最大規模となった。ほかにも“最強の肉食恐竜”ティランノサウルス類最古の種「グアンロン」や、全長17メートルの世界最大級の肉食恐竜としてマニアに絶大な人気を誇る「スピノサウルス」の全身骨格などを初公開している。期間は9月27日まで。恐竜は男のロマン。そう思ったら幕張にGO! だ。(高)
<アクセス>
「恐竜2009 砂漠の奇跡」 会場=幕張メッセ国際展示場10、11ホール。開場時間=午前9時〜午後5時(入場は閉場30分前まで)。入場料=一般2500円、小中高生1200円。9月27日までの期間中無休。アクセスはJR海浜幕張駅より徒歩5分。