音楽不況の現在にあっては驚異的な数字といえるが、同時にいわゆる「AKB商法」と呼ばれる売り方にもあらためて注目が集まる形となった。ネット上でも「なんだかんだですごい数字じゃね」「5000万枚って日本国民の2枚に1枚が持っている計算か(もちろんネタです)」といった数字を讃える声がある一方で、「これは素直に喜べる数字ではない」「AKB商法が日本の音楽産業のありかたを変えてしまったからな」「ファンの散財(涙)が感じられる」といった書き込みが見られる。
「AKB商法」とは、同じ商品に異なる特典を封入する、複数枚の購入を握手会などのイベント時の特典とするといった商品展開についていわれている。例えば、握手会に参加できる握手券に換えられるチケットは、各CDの初回限定盤に封入されている。チケット1枚につき10秒程度、アイドルと対面できるため、複数枚を購入し時間を伸ばそうとするファンが増えるのだ。ただ、1枚1000円だとしても、1分(60秒)を得るためには6000円を投資しなければいけない。なかなか高い買い物ではないだろうか。
結果、大量のCDが余ることになり「置き場所に困る」「中古屋で買取拒否」「ゴミとして不法投棄される」といった事例が後を絶たない。
初回出荷時に1位を狙い、売上を高めるためファンがすでに持っているCDを購入する行為などはかつてからあった。SMAP解散を前にして過去のヒット曲『世界に一つだけの花』が再ブレイクし、オリコンチャート入りしたのはよく知られている。「AKB商法」は、そうしたファンの自発的複数購入でなく、運営側の目論見が見えてしまい、特異さが際立っているのだろう。