そんななか、新大関の豪栄道(28=境川)は初日に平幕・高安(24=鳴戸)、3日目に平幕・嘉風(32=尾車)に苦杯を喫するなど、スタートダッシュにつまずいた。全く優勝争いに絡めず、6勝5敗と不振だ。あと4日、全勝しなければ、大関の責任といえる2ケタ勝利はならない。まだ、白鵬戦が残されているだけに、極めて厳しい状況に追い込まれたといわざるを得ない。
ここ数年、新大関の場所で1ケタ勝利に終わったのは、日馬富士(09年初場所/30=伊勢ヶ浜)の8勝、鶴竜(12年夏場所)の8勝の例がある。
そもそも、豪栄道の大関昇進は“大甘”だった。直前3場所での勝ち星は32勝で、昇進の目安とされる33勝には星が足りなかった。その3場所の成績は12勝、8勝、12勝で、2場所前の8勝どまりは、なんとも印象が悪い。それでも、日本相撲協会幹部は14場所連続で関脇の地位を維持した安定感を買って推挙したが、期待に応えられていない。
関脇時代、2ケタ勝った翌場所の成績はすべて7勝か8勝で、2場所連続2ケタ勝利は1度もなかった。それにならえば、今場所は1ケタしか勝てない場所となる。
今場所、ファンの注目は遠藤(23=追手風)や大砂嵐(22=大嶽)、逸ノ城、40代幕内を達成した旭天鵬(40=友綱)らに集まっている。新大関といっても、かなしいかな、豪栄道への注目度は低く、そんなにプレッシャーもかからなかったはずなのに、この成績だ。
昇進について、関係者、ファンからも「時期尚早」の声が多かっただけに、「やはり、もう1場所見れば良かったのに」と言われかねない。
(落合一郎)