健闘したのは大関・稀勢の里(27=田子ノ浦)で、日馬富士、新横綱・鶴竜(28=井筒)の2横綱を下して、13勝2敗の優勝次点。ここ最近の傾向では、「優勝に準ずる成績」と認められてもおかしくなかったが、先々場所(初場所)=7勝8敗、先場所(春場所)=9勝6敗の不振が響き、来場所の綱獲りはなし。北の湖理事長(元横綱)は「初場所の負け越しが大きい。全勝優勝して話題になるかどうか」と話した。
一方、赤っ恥をかいてしまったのが、新横綱の鶴竜だ。千秋楽では稀勢の里に完敗を喫して、終盤3連敗。これで、9勝6敗となり、横綱としてはあまりにもひどすぎる成績に終わってしまった。
しかも、鶴竜は12日目、関脇・豪栄道に敗れたかに見えたが、審判員が手を挙げなかったため、控えにいた白鵬が物言い。審議の結果、豪栄道がマゲをつかんだとして、鶴竜は命からがらの反則勝ちを拾った。ただ、相撲内容は豪栄道がマゲをつかんだのは、完全に鶴竜の態勢が崩れた後で、反則がなくても負けていた。この白鵬のアシストがなければ、8勝7敗で終わるところだった。
もともと、鶴竜に関しては不安材料も多かった。確かに先場所、先々場所はともに14勝1敗と文句ない成績を収めているが、3場所前、4場所前はいずれも9勝どまり。大関在位12場所で1ケタ勝利が7回、うち3回は8勝しか挙げていない。それだけに、昇進については「もう1場所見た方がいいのでは」との声もあった。
思えば、先に横綱に昇進した日馬富士も、新横綱の場所は9勝で終わっている。ただ、2場所目は全勝優勝を果たして、汚名を晴らした。鶴竜は来場所、優勝、もしくはそれに準ずる成績を収めなければ、昇進させた横綱審議委員会も審判部も面目丸潰れだ。
(落合一郎)