パの優勝候補筆頭は西武。昨シーズンは渡辺監督が就任1年目にして日本シリーズを制し、その勢いをかってアジア王者の座にも就いた。
野球評論家の上田武司氏は「西武が抜けている。攻撃面では機動力があり、一発も打てるバッターがいる。いろんな戦術で点が取れる」ことが西武の強みだと分析する。
中でも、2年連続盗塁王のリードオフマン片岡易之の存在が大きいという。
「かつて阪急に福本(豊)という選手がいた。ヒットか四球で一塁に出ると、盗塁してセカンドに行く。2番バッターは盗塁するまでバントしない。福本が走ってホームインするのが勝利のパターンだった。片岡はまだ福本の域までには達していないが、出塁すれば攻撃に幅が出るぶん、有利になる」(上田氏)
去年の巨人との日本シリーズ最終戦でも、西武はこのパターンで決勝点をもぎ取り日本一に輝いている。西武の牙城を崩すには“片岡封じ”がポイントになりそうだ。
昨年2位と台風の目になったオリックスは、外国人カルテットが脅威。タフィ・ローズは日本人扱いのため、カブレラ、ラロッカ、フェルナンデスの同時起用が可能で、「ローズ、カブレラの2人が40本100打点以上あげてチームを引っ張れば面白い。ラロッカにフェルナンデスもいて、(スコアボードが)カタカナばかりだね」と上田氏。
大砲揃いの超強力打線に他球団の投手は、頭を悩ますことになる?
昨年3位の北海道日本ハムは、巨人からトレード移籍してきた二岡智宏に注目したい。昨シーズンは開幕直後のケガや、山本モナとの不倫騒動など不本意な1年だった。それだけに新天地で復活を期す思いは強い。
上田氏も「マイケル(中村)を放出してまで二岡を獲ったんだから、活躍してくれないと(日ハムは)採算が合わない」と言う。打線も二岡の存在は大きい。
今シーズン限りでの退団を発表しているボビー・バレンタイン率いるロッテは、メジャーから日本球界に復帰した井口に期待がかかるが、上田氏の評価は以外に手厳しい。「ソフトバンク(当時ダイエー)の中心選手だったころの井口には、ほど遠い。もし4番を打たせるようでは、チームは苦戦を強いられるのではないか。1番か2番が妥当でしょう」
井口をチャンスメーカーとして使うのか、ポイントゲッターに据えるかで運命が分かれそうだ。
悲願のAクラス入りを目指す楽天は、中日から移籍してきた中村紀洋次第か。
「WBCでマー君が、ひと皮むけた。絶対的なエース岩隈がいるし、野村さんも3年目。ようやく“野村の野球”を選手が理解できるようになった。打線はノリの加入で、1本芯が通った。(本塁打を)20本以上打てれば、楽天は面白い。台風の目になるんじゃないか」と上田氏も期待する。山崎武司との和製大砲2枚看板で楽天を上位へ押し上げられるか。
去年、最下位に沈んだソフトバンクは、秋山新体制の下、復活がテーマになる。打線では主砲の松中信彦、小久保裕紀。投手陣では新垣渚、斉藤和巳が復活にかけることになる。上田氏の見方はこうだ。
「松中は3冠王を獲ったときの状態からはほど遠い。松中、小久保がもうひと花咲かせるようなら、プレーオフ3位は狙える。伸び悩んでいる新垣が今シーズン、どう変わっているかも楽しみ。キャンプで下半身を鍛えてコントロールがよくなっていれば、15勝してもおかしくない。斉藤も活躍するようなら優勝も狙える」