さすが朝日、という厳しい処分だった。朝日新聞社は23日、東京国税局の税務調査を受け、2008年3月期までの7年間で、京都総局のカラ出張による架空経費計上など約3億9700万円の所得隠しを含む約5億1800万円の申告漏れを指摘されたことを明らかにした。朝日はこれを受けて架空経費の計上に関与したとされる当時の京都総局長を停職処分、さらに東京・大阪・西部・名古屋の4本社編集局長を減給処分とした。
報道機関が自社の管理責任を問い、各編集局長を一斉に処分するのは異例。朝日は同日修正申告し、追徴税額は重加算税約2800万円を含めて約1億3900万円に上るとみられる。所得隠しと指摘された3億9700万円は編集関連費で、編集取材費の一部を経費ではなく、課税対象の「交際費」と認定されたり、出張費の過大計上を指摘されたりした。
大手紙記者は「朝日の所得隠し発覚には笑った。もちろん朝日が悪いんだけれども、しかしまた新潮社とガチンコ対決している最中でタイミングが良過ぎる。裏になにかあるんじゃないかと疑いたくなるよね」と話す。
週刊新潮の4週(2月5日号〜)にわたるキャンペーンが終わり、朝日が事前に“予告”していた通り、反撃&反証を始めた矢先だった。
朝日は23日付朝刊1面で「『真実性なし』と判断」との見出しの記事のほか、「虚言そのまま掲載」とのタイトルで1ページ全面を使った記事で反撃。新潮社が「実行犯の証言」とした内容について、捜査本部が発表した情報や現場にいた記者の証言などと比較した上で「そのすべてにおいて、証言は客観的事実と違っていた」と結論付けた。
新潮社に対して「『虚報』の責任は証言者だけでなく新潮社も負わなければならない」とプレッシャーをかけている。