昨年12月、投手に対する負担軽減などを目的に、新潟県高野連が、1試合100球に達した場合、投球することができないというルールの導入を決定。先進的な取り組みとして注目されていた。
ところが、これに待ったをかけたのが、親玉の高野連。2月20日の理事会で、「勝敗に影響を及ぼす規則については全国で足並みを揃えるべきだ」として、再考を要請。事実上、圧力を掛けたことになる。
新潟県高野連の対応が注目されていたが、18日になり「撤回」を発表。新潟県高野連会長は「我々の取り組みを受け入れてもらえなかったのは残念」と心境を語った。やはり親分の圧力には、逆らえなかったようだ。
なお、高野連は4月から「投手の障害予防に関する有識者会議」を開き、そこに新潟県高野連会長も参加。医師や元プロ野球選手などを交えて、議論していく予定なのだという。高野連の竹中雅彦事務局長は撤回を受け、「こちらの考えや意向を理解していただいた」と安堵の声を上げた。
高校野球ビジネスの恩恵を受ける新聞社を中心に、「今後話し合っていく」「いろいろな問題をクリアしてから」などと美談のように語られているが、ネットユーザーはそうは取らなかった様子。「結局は圧力じゃねえか」「期限もなしにただ話し合って批判を交わしたいだけ」と批判が殺到している。
さらに、「スタンドプレーを許さない姿勢が許せない」「全国の指導者が全く異議を唱えないのは圧力が掛かっているからではないか」「そりゃ高野連に楯突いたら仕事失っちゃうもんね」など、高野連の「圧力を掛けてやめさせる」というやり方についても非難殺到状態だ。
「新潟県の打ち出した球数制限は実に先進的であり、かつ春季大会という夏や春の甲子園とは直接的に関わりを持たない大会で、『テストケース』としてもってこいだった。『圧力』を掛けてやめさせるよりも、本来ならテストとして、『どうなるか』を見てみるべきだったのではないか。今回の対応は、勝手に球数制限を考えた新潟県高野連に、高野連がメンツを潰されまいと無下にしたとしか思えません。ひどい対応です」
本当に選手の体調よりも、メンツや『勝負の公平性』だけにこだわった措置だとすれば、ひどい対応といわれても致し方ないだろう。
文・櫻井哲夫