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飲酒人口の減少加速! 酒税見直しでもジリ貧のビール業界

 自民党税制調査会は、先頃開いた幹部会合で「ビール類にかかる酒税の見直しを2017年度税制改正大綱に盛り込む」と、大筋で決定した。2020年10月から段階的に税率を変更し、最終的に'26年10月にビール、発泡酒、第三のビールの酒税が統一される。これによって、ビールは減税、発泡酒、第三のビールは増税される形となる。
 「酒税は『取りやすいところから取る』という税務当局の格好の対象として、税制改正の都度『メーカーvsお上』という対立の構図ができていました。ただ、この度の改正案については賛否両論。というのも、ビール類でビールの出荷量が6割を占めるサッポロHDや、ビールで最も多くの販売量を誇る『スーパードライ』のアサヒビールは“ビール減税”に対して容認スタンス。一方、発泡酒の人気ブランド『淡麗』のキリンと、第三のビール『金麦』等が6割を占めるサントリーは反対のスタンスなのです」(経済誌記者)

 飲酒業界全体の見通しについて、現場の声はいっそう厳しさを増している。
 「消費者の節約志向は強いし、何よりも外食における飲酒量の下げ止まりにブレーキがかかりません。営業努力はしていますが、想定以上に市場の縮小が進んでいて、味のおいしさレベルでは大きく売り上げは変わらなくなっています」(某メーカー社員)

 実際、若者の酒離れと言われて久しいが、進む高齢化により飲酒人口の減少は加速している。単純に労働人口が減れば“仕事の後に一杯”という人たちが減り、さらに健康志向が広がれば飲酒量も減るのは自然な流れだ。もはや飲酒業界は、税制で左右されるレベルではない段階に入りつつある。
 別のビールメーカー幹部が「明るい希望もある。将来、自動運転車が普及すれば、飲酒量が飛躍的に増えるのではないか」と期待する胸の内を話したが、現行制度では車に乗る以上、やはり飲酒はご法度。自動運転はあくまでも“走行モード”にすぎないからだ。

 業界衰退に歯止めをかけるには『安い』『おいしい』『健康的』な新商品を開発する以外、近道はない。

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