千春(仮名)も、お客様とは絶対に男女の仲に発展することのないキャバ嬢でした。なぜ、「絶対ない」と言い切れるかというと、千春は真性のレズビアンだからです。レズビアンである千春がキャバ嬢をやっていることに驚いた人もいるかもしれませんね。ですが、「キャバ嬢=お酒が好きとは限らない」というのと同じように、「キャバ嬢=オトコ好きとは限らない」のです。
千春がキャバ嬢になったのは、「お給料がいいから」という、ごく単純な理由でした。「でも、貴女はレズビアンでしょう?」という問いに対しては、「恋愛の対象が女性なだけで、男性と話したりお酒を飲むのが嫌いなわけではない」とのこと。なるほど、仰るとおりです。千春は、「お客様とは恋愛するわけではない。とはいえ、疑似恋愛のような雰囲気は大切にしている」と言います。男性側からしてみたら、少し寂しいような気もしますが、ある意味プロ根性が座っているといえるでしょう。そう、千春の強みは、なんといっても「割り切って仕事が出来る」ということ。キャバ嬢さんの中には、男性客に情が沸いてしまったりして、すったもんだを起こす者もいますが、千春の場合はそういったことが絶対にないのです。
ところで、気になったのは千春の恋人(女性)の件。同棲中の恋人がいるとのことですが、千春がキャバ嬢をやることにヤキモチを妬いたりしないのでしょうか? 男女のカップルの場合は、男性がヤキモチを妬いて、キャバクラ勤務を辞めさせることもありますよね。この点については、「恋人も、別のキャバクラでキャバ嬢をやっている」との答えが返ってきました。お互い、「男性に対して恋愛感情を抱くことがないとわかりきっているから、ヤキモチを妬くことはない」のだそうです。とはいえ、本人たちがそういった考えでも、お客様に誘われることはあるようで、「そういった意味では、お互い心配になることもある」ようです。「レズビアンだとカミングアウトしたほうがラクなのでは?」とアドバイスしたところ、「お客様の夢を壊してはいけないから、それは絶対に言わない」とのことでした。やはり、プロ根性の座ったキャバ嬢さんでした。(キャバクラ研究家 菊池美佳子)