昨年は全体2位のオリックスから吉田正尚が選出されたこの賞だが、過去10年を振り返ると、とあるジンクスが浮かび上がってくる。それは受賞選手の半数以上が“タイトルホルダー”になっているということだ。
過去10年の受賞選手のうち、タイトルに縁がなかったのは昨年の吉田、2014年の亀井善行(巨人)、2016年の城所龍磨(元ソフトバンク)の3選手。その他の7選手はいずれも、その後の戦いを経て何らかのタイトルを獲得している。
2015年に初受賞した柳田悠岐(ソフトバンク)は、「打率.363、34本塁打、32盗塁」で首位打者とトリプルスリーを同時達成。2度目の受賞となった2017年も、最高出塁率(.426)のタイトルを獲得した。
2013年にMVPとなった長谷川勇也(同)は、首位打者(打率.341)と最多安打(198本)を獲得。2012年に戴冠した内海哲也(当時巨人、現西武)は、交流戦期間中に挙げた4勝も効き2年連続となる最多勝(15勝)を手中に収めている。
移籍初年度の2011年に戴冠した内川聖一(ソフトバンク)は、その年史上2人目となる両リーグでの首位打者(.338)を達成。22歳の若さで選出された2010年のT−岡田(オリックス)は、1962年の王貞治以来となる22歳での本塁打王(33本)に輝いた。
2009年の杉内俊哉(当時ソフトバンク)は、最高勝率(.750)、最多奪三振(204個)の二冠を達成。ちなみに、杉内は翌年も200個以上の三振(218個)を奪っているが、ソフトバンクの投手が200奪三振をクリアしたのは同年の杉内が最後の例となっている。
2013年からは隔年でジンクスが発生していることを考えると、今年は受賞者がタイトルホルダーになる年であるともいえる。果たして、飛躍が約束された交流戦MVPを獲得するのは一体どの選手になるのだろうか。
文 / 柴田雅人