そんな中、早い段階で地味に注視されたのは、明石家さんまが「オフィス事務所」という個人事務所を構えていたことだ。さんまは、デビュー時から変わらず吉本に所属。その吉本公認で個人事務所があったというのだ。どういうことか。
「芸能事務所に籍を置いているタレントは基本、個人事業主という扱い。マネジメント業務はその事務所が行っており、個人所得にはおおまか50%の所得税がかかります。でも、法人税なら30%。大物芸能人は節税対策として、個人でオフィスを持つのです」(法律に詳しいジャーナリスト)
さんまの“事務所”には、年に一度プロデュースする主演舞台に出演する仲間芸人のラサール石井(石井光三オフィス)、松尾伴内(オフィス北野)、村上ショージ(吉本興業)などが籍を置く。それぞれが大手芸能プロに所属しているため、請け負う仕事はすべて、大元の事務所経由であることに変わりはない。
同様のパターンは、松竹芸能にもあった。笑福亭鶴瓶だ。鶴瓶の場合は、表立った活動をせず、ホームページすら開設していないさんまと異なり、自身のマネジメント業務は個人事務所「デンナーシステムズ」が行っている。専属タレントは現在、鶴瓶のみで、サンミュージック所属のスギちゃんは、かつて「杉山えいじ」を名乗っていたころ、この事務所にいた。
デンナーシステムズは、元松竹社員で、鶴瓶のマネージャーだった千佐隆智さんが興した芸能プロ。グループ関連会社の「ステッカー」には、中島知子とのオセロを解散後に独立した松嶋尚美がいる。同社は、元松竹芸能東京支社長で、松竹時代のオセロのマネージャーでもあった難波規精さんが代表取締役。鶴瓶と松嶋がテレビ東京系列『きらきらアフロ TM』で共演中なのは、20年以上にわたるビジネスパートナーであるがゆえだ。
同社には、鶴瓶の長男で、俳優の駿河太郎も所属。松嶋の夫で、ロックバンド・MARSAS SOUND MACHINEのボーカル兼ギター担当のヒサダトシヒロは、同じグループ関連会社「MAD TV ARTISTS」に籍を置いている。
さんまの“事務所”が、渦中の宮迫を受け入れる体制を整えたり、ダウンタウンの松本人志が、謹慎中の芸人を一挙に引き受ける吉本内組織「松本興業」の発足を掲げたり。一連の騒動からは、多くの新情報がボロボロとこぼれ落ちた。
さんま、鶴瓶に続いて、松本が芸人を抱えたら……。事の成り行きを見守りたい。
(伊藤雅奈子)