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芸人発祥の遊び・関東編

 今では当たり前のように使われている言葉や、ポピュラーな遊び。その発祥が、意外なお笑い芸人である例がいくつもある。たとえば。

 紅白の旗を手にして、「赤上げて、白下げて」の指令に基づいて旗を上げ下げする“旗上げゲーム”。これを発案したのは、1960〜70年代に江戸で活躍したコメディアン・ナンセンストリオだ。メンバーの岸野猛は今年傘寿を迎え、現在は東京の浅草を中心とした演芸場で細々と活動しているが、若かりしころ、旗揚げコントの際に創始したのが、この旗上げゲーム。本人の名は廃っても、芸が生き長らえていることは、彼らの誇りだろう。

 このナンセンストリオのあとの浅草演芸を支えたのは、“リビングレジェンド” 萩本欽一。浅草のストリップ劇場の幕間で芸の腕を磨いた萩本は、その後「視聴率100%男」と呼ばれるほどのヒットメーカーになったのは周知の通り。昭和のテレビ史に欠かせない偉人だけあって、流行語、原点となった言葉をたくさん生んでいる。

 生粋にボケた性格をしている人のことを、「天然」と呼ぶが、それは欽ちゃんがジミー大西と接したときに発した言葉だ。ジミーがまだピン芸人として活動していたころ、その突飛な言動に対応できるのは、明石家さんま、ただひとりだった。そんなジミーに触れた欽ちゃんが、思わず発したのが「君は天然なんだねぇ」だった。

 同様に、今や若者文化でもっともポピュラーなワードとなった「ウケる」も、欽ちゃんの番組発。じゃんけんから派生した「あっち向いてホイ!」も同じく、欽ちゃんの番組から誕生している。

 じゃんけんつながりでいえば、「最初はグー。じゃんけん、ホイッ!」は、志村けんがプライベートの飲みの席で咄嗟に発した言葉。生粋の芸人は、期せずして口に出したことでさえも、時代を創作してしまうようだ。

 では、対する西の上方芸人はどうだろう。次週では、関西の師匠方から笑いの求道者まで、幅広く掘り下げよう。(伊藤由華)

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