第1作の映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年)と、その続編『イノセンス』(2004年)を監督した押井氏は同作の監督に決まった時の様子を、「(原作・攻殻機動隊の)マンガ読みながら、いつかこの作品をアニメにするんだろうなと感じていた」と予感があったと明かした。
同シリーズ1作目は、まだインターネットが普及していなかった当時に、ネットワークへの接続が日常になった近未来を描いた作品として、国内外のクリエイターに大きな影響を与えた。しかし制作当時は、かなり手探りだったようで、押井氏は、「まず、インターネットを知らないでやってましたからね。電脳ってなに? 義体って? と作中の言葉や設定すらよくわからなかったんですよ。こんなものだろうという妄想だけで『GHOST IN THE SHELL』を作りました」と回想した。
2002年から『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』を始め、テレビ放送シリーズの監督を担当した神山氏は、難解なSF設定をテレビ用にわかりやすくする苦労があったようで、「当時は(作中に登場するキャラの)頭の中に電話が入っているという感じで作っていた」と語った。
また、会場には同作のシリーズを制作している、プロダクションI.G石川光久社長や、13年より同作の脚本を担当している作家の冲方丁氏も登壇した。石川社長は、「25年前はちょうど『パトレイバー』を作るときで。押井さんの絵コンテにはしびれましたね。しかも次が攻殻。プロダクションI.Gは押井さんのためにあるんじゃないかと思っていた」とコメントした。しかし直後に、「それが、『イノセンス』あたりからおかしくなってきた。それで今、押井さんに言いたいのですが、借金を返してほしいんですよ!」とぶちまけ、場内の爆笑を誘った。
その後、20日から公開の新作の感想を求められた押井氏は、「想像したよりも全然面白かった。テンポがいいし、お話もよくできている。黄瀬の絵は良くて当たり前だから、冲方さんの脚本が良かったんだろうな」と称賛した。
さらにトークイベントの最後に押井氏は、「この3人はケンカもしましたし、いろいろありました。でも結果が良ければいいかなと。25年続いた作品なので、もしかしてまだ続きがあるかもしれない。それなら1周してまた最初に戻るのかなと」次回作への意欲もほのめかした。(斎藤雅道)