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新監督4人の苦悩と今後

 セ・リーグが横浜・尾花高夫vs広島・野村謙二郎、パ・リーグも楽天・ブラウンvsオリックス・岡田彰布と、両リーグで新監督同士の最下位争いが演じられている。それぞれ勝算に自信満々だったが、そうは甘くないのが勝負の世界だ。オールスター前後に水面下で来季の監督人事が進行するのが球界の常識。苦悩する新監督たちはどうなるのか?

 2年連続最下位を独走した横浜球団首脳の尾花監督に対する最大の期待は、昨年まで投手コーチを務めていた古巣・巨人イジメだった。リーグ4連覇を目指す巨人を叩くことで、存在感をアピールする狙いだ。尾花監督自身も「アナライジング・ベースボール(分析野球)」を旗印にして、「巨人のことは知り尽くしているから」と鼻息が荒かった。が、結果は散々だ。2勝8敗とカモにされている。
 「尾花は巨人戦だけに勝って、見せ場を作れば、5位でも御の字だろう」。チーム内外での尾花監督に対する「合格」のハードルはこう一致していたが、「巨人イジメ」「5位」ともに危うくなっている。「名投手コーチ、名監督ならず」という厳しい声が出てきており、このままでは、今季限りの解任を免れたとしても2年目の来季がクビのかかった正念場になる。
 13年ぶりのAクラス入りどころか、19年ぶりのリーグ優勝を宣言しながら最下位争いしている、広島生え抜きの野村監督の方は全く立場が違っている。チーム低迷にもかかわらず、松田オーナーの変わらぬ絶大な支援を得ており、「チーム再建に取り組んでもらうために長期間監督をやってもらう当初の方針に変わりはない」と、長期政権のお墨付きを改めてもらっている。マエケンこと前田健太という、広島の枠を飛び越えた、「セ界の新エース」が誕生したことも、追い風になっている。
 交流戦で初優勝しながら、勢いに乗れず、最下位争いに参戦しているオリックス・岡田監督にも新しい看板選手育成に成功という切り札がある。監督就任時に「和製大砲や」と惚れ込み、高校時代からのニックネームの“浪速のゴジラ”から脱皮させるために、登録名を改名させたT|岡田が期待通りに成長。交流戦MVPを獲得。さらにホームラン王争いに加わっている。
 「阪神を優勝させるより、オリックスを優勝させる方が簡単や」という豪語の方は、雲行きが怪しい。阪神が巨人とマッチレース、オリックスは最下位争いの現状では…。が、秘蔵っ子・T-岡田の急成長のおかげで、岡田監督の最低限のメンツは立っている。

 面目丸つぶれ状態は楽天・ブラウン監督だ。「広島でBクラスばかりの監督がなぜワシの後釜なんや」「本当は最下位予想やが、名誉監督でもあるから、温情で5位予想にしてやったんや」etc。言いたい放題だった野村克也前監督(現名誉監督)に対し激怒。ナインの前で「5位なったら、みんなの前で土下座する」と大見得を切ったが、本当に土下座しなければいけない非常事態になりかかっている。
 しかも、野村前監督は現場復帰を虎視眈々と狙っている。沙知代夫人のマネジメントによる過酷な講演会による疲労からダウン、入院騒動まで起こしているからだ。「グラウンドで死にたい」という野村前監督のこと、講演会で過労死する前にユニホームを着るのが最善の骨休めというわけだ。
 が、苦労してようやく勇退させ、世代交代したばかりの楽天側にとっては冗談ではないだろう。野村前監督の復帰工作を阻止するためにも、このままの状態ならば、今季限りでブラウン監督を解任、新監督を就任させる必要がある。日本人妻がいて、「1年でも長く日本で監督をやりたい」という、ブラウン監督は死に物狂いで、巻き返すしかない。幸い、パ・リーグはセ・リーグと違い、あきらめるにはまだ早いゲーム差という救いがあるのだから。

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