出された裁定は親方として最も地位が低い無役の年寄に10年間据え置き、開催予定の名古屋場所千秋楽(7月24日)までの謹慎という甘いものだった。同時に今後、不祥事を起こした場合は、部屋を閉鎖することに同意する誓約書を提出させた。
理事会では解雇、部屋閉鎖を求める厳しい意見も出たもようだが、「もう一度、チャンスを与えようということになった」(放駒理事長=元大関・魁傑)との理由で厳罰は回避された。
先の八百長調査で、尾上部屋からは境沢、白乃波、山本山の3人が関与を認定され、処分された。この監督責任を問われ、尾上親方は委員から年寄に2階級降格処分を受けたばかり。それ以前にも、3月16日に、大阪市内で同部屋所属の大関・把瑠都が、禁止されているジャージー姿で外食に出かけ注意を受けるなど、部屋の師匠としての指導力に疑問がもたれていた。親方自身が処分されたばかりであるにもかかわらず、社会人として失格といっていい酒気帯び運転をしたとなると、厳罰も当然と思われていた。
一般社会に照らし合わせると、懲戒免職や諭旨解雇処分となっても仕方がないようなトラブルで、世間の理解を得がたい大甘裁定。また、今回、八百長関与を否定しながら、22人もの力士、親方が事実上の追放となった。それと比べると、いささか処分が軽い印象はぬぐえない。
尾上親方は「また生かしてもらえることになった。処分を真摯に受け止め、口だけではなく態度で示していきたい」と反省の弁。その言葉通りに改心しなければ、協会の温情にドロを塗ることになる。
(ジャーナリスト/落合一郎)
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