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2013年プロ野球キャンプレポート・埼玉西武編 「ポスト中島に浮上してきたルーキーと新クローザー」

 近年の埼玉西武ライオンズは後半戦で追い上げ、クライマックスシリーズに滑り込む展開となっている。「開幕序盤(前半戦)の躓きがなかったら、優勝も…」と悔やむファンも少なくないだろう。『スロースターターの弱点克服=新人、若手の到来』だとすれば、西武は違う道程でリーグ優勝を目指すようである。

 “3割30本”3番打者・中島裕之の抜けた分は2番打者だった栗山巧を昇格させ、片岡治大、秋山翔吾、熊代聖人らが「1、2番」を争う図式になっていた。内野の布陣は主砲・中村剛也、オーディス(DHも)、浅村栄斗、山崎浩司、2年目のヘルマンが固める。昨季と代わり映えしない…。
 いや、二遊間のレギュラー争いに割り込んできそうな新人がいた。
 背番号2、ドラフト5位の金子侑司(22=立命館大)だ。体つきは細いが、足が速く、捕球からスローイングまでの動きも軽快である。

 紅白戦の対戦投手の関係で左打ちしか見られなかったが(両打ち)、2ストライクを奪われたあとでも、セーフティー・バントの構えを見せ、対戦投手の失投を誘おうとしていた。1番バッターとしての資質はたしかに高い。だが、空振りと「三塁側ベンチ方向へのファール」の多さが気になる。しっかりとバットの芯で捉えられないのだ…。守備、走塁は即戦力。プロ投手の変化球に適応できれば、渡辺久信監督は間違いなく、スタメンで使ってくるだろう。
 主砲・中村の出遅れが気になる。日本球界9年目のオーディス、新加入のスピリーのいずれかが『代理4番』を務めると思われる。スピリーは威圧感がない。かといって、広角に打てるかといえばそうでもない。でも、長打を狙わずにしっかりと捉えてくる…。突出した特徴のない、平均点の選手といった感じだ。クリーンアップのパワーダウンによって、序盤戦は「0-1」、「1-2」といったロースコアのゲームを落とす可能性もあるのではないだろうか。

 投手陣だが、菊池雄星は過去3年とは比べ物にならないほど、腕が振れている。逞しくなったが、セットポジションでの投球になると、球速が落ちる欠点は完全に解消されていなかった。試合序盤はともかく、スタミナが切れ掛かってくるころの中盤以降に不安が残る。首脳陣が各メディアに話した限りだと、今季の先発スタッフは涌井、岸、牧田、石井一久、5番手以降は菊池、野上亮麿、十亀剣らが争う図式。一時的なコンバートだったとはいえ、昨季、30セーブを稼いだ涌井秀章を先発に戻すとなれば、ブルペンスタッフの戦力ダウンは否めない。

 ペナント奪回のカギはリリーフ陣が握るのではないだろうか。先発スタッフを見渡すと、石井一は今年40歳、発展途上の菊池、試合中盤に突然崩れる傾向のある野上など、リリーフ陣の助けを必要とする投手もいる。そのリリーフ候補だが、昨季59試合に登板した岡本篤志、左の松永博典は順調に仕上がっていた。ドラフト1位の増田達至(24=NTT西日本)、2年ぶりの西武復帰となったシコースキー、前広島・サファテ、56試合に登板して被弾ゼロのウィリアムスなどもいるが、クローザーが見当たらない。関係者によれば、大石達也の名前が渡辺監督の頭のなかにあるという。その大石だが、キャンプ後半のブルペン投球を見た限りでは、昨年の同じ時期と比べて、真っ直ぐは確実に速くなっている。だが、練習試合やオープン戦の使い方を見ていると、渡辺監督は“慎重”だ。イニングの先頭からの登板、上位打線とぶつからないイニングでの起用…。クローザーの適性があることは早大時代に立証されている。だが、ペナントレースを投げきった経験はない。

 渡辺監督の性格から察するに、『クローザー・大石』で開幕戦を迎えるとしたら、1カ月くらいは「救援失敗」も許すだろう。「まだ大石では無理だ」と判断した場面では、岡本や松永を投入するのではないだろうか。
 近年、序盤戦の出遅れがV逸となってきた。その弱点解消のカギは大石が握っている。

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