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2013年プロ野球キャンプレポート・オリックス編 「投手陣のレベルアップがあれば優勝圏内に…」

 キャンプ明けの2月27日、元広島のマイク・シュルツ投手(27)の入団が発表された。村山良雄・球団本部長は「日本のことをよく分かっているのも判断材料になった」と“緊急獲得”した理由を語っていたが(共同通信より)、このコメントはある意味、新生・森脇オリックスの現状も如実に表していた。
 オリックスはFA補填でソフトバンクのクローザー・馬原孝浩(31)を獲得。キャンプ直前に日本ハムとの複数トレードで「4番も託せる」糸井嘉男外野手(31)も得た。馬原はキャンプ後半で右肩の違和感を訴えたが、大ごとではなさそうだ。『ゲームの軸』となるこの2人の新加入選手が活躍すれば、クライマックスシリーズ進出はもとより、優勝圏内にも食い込んでいるだろう。

 森脇浩司・新監督(52)の采配だが、指揮権を代行した昨季終盤の通り、機動力や犠打を絡め、確実に得点を取っていくスタイルだと思われる。フリーに打たせる“一発野球”は大量得点こそ狙えるが、その確率は高くない。堅実な機動力野球の攻撃に切り換えるのであれば、最小失点で押さえられる投手力が不可欠となる。オリックスの生命線は、投手陣ではないだろうか。
 エース・金子千尋(29)がフリー打撃に登板したのは、2月11日。打者4人に約70球を投げ、ヒット性の当たりは3本。急性胃腸炎でキャンプ序盤の練習をリタイアしたとは思えないほど「順調な仕上がり」を見せていたが、その後、右前腕部の炎症で調整が大幅に遅れてしまった。
 エースの不調がシュルツ獲得に繋がったのだろう。
 シュルツは広島時代の10年シーズン途中に椎間板ヘルニアと診断され、メスを入れたが、翌11年に復活できなかった。昨年はナショナルズとマイナー契約を交わしたものの、7月に解雇されており、実戦から遠ざかっているという。広島時代は先発だけではなく、リリーバーとしても活躍したが、日本を知る利点よりも、「本当に投げられるのか?」といった不安要素の方が大きいのでは…。

 投手陣の新戦力は、ドラフト1位ルーキー・松葉貴大投手(22=大阪体育大)、新外国人のディクソン、ハモンド、トレード加入の東野峻、八木智哉の4人。松葉は140キロ台後半のストレートが出る即戦力左腕と称されていた。しかし、16日の紅白戦では、1イニングに2本塁打を浴びてしまった。その松葉の心象だが、カーブ、スライダー、チェンジアップ系の変化球(ツーシーム?)も投げていたが、クローザータイプの投手のような『三振を決めに行くウイニング・ショット』を持っていないと思った。しかし、コントロールも良く、どの変化球でもストライクが取れるので、「6回3失点以内」という先発投手のQS(クオリティ・スタート)を稼げるタイプだと思った。ただ、16日の登板はコントロールも悪かった。ストライクを取りに行ったところを狙い打ちされ、しかも、「スタンドまで」となると、二軍で勉強することも多いようだ。

 左腕のスティーブン・ハモンドは、独立・BCリーグの石川ミリオンスターズの出身。石川時代も見たが、踏み出す右足の歩幅が少し狭くなったような気がする。当時はパワータイプのピッチャーだったと記憶しているが、NPBのストライクゾーンに違和感を持っているのか、それとも、プロの柔らかいマウンドが合わないのか、石川時代の迫力はまだ発揮されていなかった。また、ブラントン・ディクソンだが、「こじんまりとまとまった右腕」と見限るか、「大崩れしない安定感がある」と警戒するか、評価は二分すると思われる。馬原は故障前の輝きを取り戻しつつあり、チームトップ(=8勝)の勝ち星を上げた西勇輝(22)も順調な仕上がりを見せていたが、投手陣は不安要素の方が多いのではないだろうか。トレード加入の八木智哉(29)も、まだ本調子ではないように見えた。

 東野はハイペースでの仕上がりを見せていた。金子の復帰が遅れれば、移籍1年目での開幕投手も十分にあり得る。

 打撃陣ではバルディリスが順調に見えた。来日6年目、『阪神のテスト生』から這い上がった“苦労人”のスイングは、さらに安定感が増した。「空振りの少ないバッター」でもあったが、こういうバッターはエンドランなどのサインが出しやすい。森脇政権ではもっと重宝されるはずだ。

 森脇監督になって、キャンプの練習メニューが大きく変わったわけではない。昨季のようなロングタイムの居残り特打はなくなったが、どちらかというと、1つ1つの練習メニューを丁寧に消化しているような雰囲気だった。オリックスは救援投手層が比較的厚いチームだ。馬原の復帰が大前提だが、救援陣に繋ぐ勝利パターンを構築するためにも、先発陣を再編成する必要がある。

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